国連総会で、大陸や国土の面積を正確に表す「イコールアース図法」による世界地図の利用拡大を促す決議案が採択された。アフリカ諸国が同意を求め、圧倒的多数の賛成を得た。法的拘束力はないが、グローバル化時代に即して、世界認識を更新する一歩と受け止めたい。
メルカトル図法の問題点
世界地図に長きにわたり広く使われてきたのが、16世紀の大航海時代に考案されたメルカトル図法である。航路を直線で表せる利便性がある半面、高緯度の地域ほど面積が拡大表示される難がある。その結果、アフリカや南米大陸は相対的に小さく描かれてしまうのだ。
地図を見る人は、無意識のうちに国や地域の広さを、経済力や政治的重要性と重ね合わせる弊に陥りがちだ。日常的に接する地図の影響力は、それほど大きい。
イコールアース図法の特徴
イコールアース図法は2018年に複数の地図学者によって考案された。面積比を保ちながら大陸の形のゆがみも極力抑えて示す数理科学の技法が凝らされている。人口増加と経済成長を続けるアフリカ諸国が国際社会で存在感を高める中、その大陸の実際の広さを地図で再認識できる意味は大きい。
ただ、今回の採択で留意したいのは、国連総会の決議はメルカトル図法を不要なものとして退けるものではないことだ。地球の球面を平面に投影すれば、面積、形、距離、方位のどこかに必ず支障が生じる。航海の分野などでのメルカトル図法の有用性は今後も変わらない。
教育と世界認識の更新
大陸の形や面積比は、地球儀が最も正確に示すが、一度に見えるのは、地球の半分に限られる。世界全体の地理情報を包括的に比較するには、平面の地図が欠かせない。今回の国連を舞台にした問題提起は、メルカトル図法の地図を、世界の標準像としてきた長年の慣習に吹き込んだ新風とも受け取れる。
学校教育では、用途に応じて複数の図法を使い分け、その特徴や限界も併せて教えるべきだろう。国境を越える人や物財、情報の動きを把握するだけでは、世界を真に理解したことにはならない。イコールアース図法の新しい地図で世界を見詰め直すことも、グローバル化時代に必要な営みである。



