米国が国際刑事裁判所(ICC)本体への制裁を発表したことに対し、日本や欧州などICC加盟8カ国の外相は9日、「遺憾であり、強く異議を唱える」とする共同声明を発表した。制裁発動には6カ月の猶予期間が設けられており、欧州連合(EU)はその間に米国との対話で解決を目指す方針を示した。
8カ国がICC支持を表明、制裁の影響を懸念
共同声明には日本のほか、カナダ、デンマーク、ドイツ、フランス、イタリア、オランダ、英国が加わった。制裁が発動された場合、「裁判所の運営、職員やその家族に重大な影響を及ぼす」と懸念を表明した。
11~12月に予定されるICC締約国会議を前に、8カ国は一致してICCを支持し、非加盟国との対話にも取り組む構えを示している。
EUは対話の余地、ブロッキング規則発動も浮上
EU欧州委員会は声明で、ICCの継続に向けて「あらゆる必要な措置をとる」と表明。制裁発動までの6カ月間に「対話する余地がある」とした。また、「EU企業の利益を守る」として、米制裁の欧州市場への波及に警戒感を示した。
ICC本体への制裁が発動されれば、ICCと取引する欧州企業が二次的制裁の対象となる可能性がある。EUでは、域内で米制裁を無効化する「ブロッキング規則」の発動が浮上しており、スペインやベルギーが要求している。ただ、米国との対立を招くことへの加盟国の懸念は強く、合意には至っていない。EUは12日の外相理事会で対応を話し合うとみられる。
ICCへの影響と締約国会議議長の見解
ICCではこれまで、赤根智子所長ら裁判官や職員計10人以上が米制裁の対象となっている。欧州各国の支援で、欧州機関を通じた送金やデータ管理などの制裁回避策を進めてきた。ICC本体への制裁が発動されれば、裁判所の運営のほか、被疑者や受刑者の拘束にも支障が生じる恐れがある。
ICC締約国会議のパイビ・カウコランタ議長は先月、産経新聞の取材に対し、米国の制裁がICC本体に発動されても「法廷が終わるわけではない」と発言し、ICCを守る体制づくりが進んでいることを強調した。