世界保健機関(WHO)は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が依然として「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態(PHEIC)」に該当するとの判断を再確認した。1月27日に開かれた緊急委員会で、専門家らが現状を評価し、同宣言の継続を勧告した。
緊急事態宣言の継続理由
WHOのテドロス・アダノム・ゲブレイエス事務局長は声明で、「パンデミックはまだ終わっていない。ウイルスは変異を続け、新たな亜種が出現している」と指摘。特に、感染力が強いとされるオミクロン株の亜系統「XBB.1.5」が世界的に拡大していることを懸念材料として挙げた。
緊急委員会は、多くの国で検査やゲノムサーベイランスが減少していることにも警鐘を鳴らした。これにより、新たな変異株の早期発見が困難になり、対策の遅れにつながる恐れがあるという。
各国への勧告
WHOは加盟国に対し、以下の措置を継続するよう求めた。
- 検査とゲノム監視の維持・強化
- ワクチン接種の促進、特に高リスク層へのブースター接種
- マスク着用や換気などの公衆衛生対策の継続
- 国際的な渡航制限は科学的根拠に基づき、比例的に実施すること
また、テドロス事務局長は「各国が協力しなければ、このウイルスを制御することはできない」と強調。ワクチンや治療薬への公平なアクセスを確保するため、国際社会の連携が不可欠だと訴えた。
パンデミックの現状
WHOのデータによると、2023年1月22日までの1週間で、全世界で約400万件の新規感染者が報告され、約1万2000人が死亡した。これは前週比でそれぞれ11%、4%の減少だが、依然として高い水準にある。
特に東アジアや太平洋地域では、新規感染者が増加傾向にある。日本でも、第8波と呼ばれる感染拡大が続いており、医療現場への負荷が懸念されている。
今後の見通し
WHOの緊急委員会は、パンデミックの終息には「集団免疫の達成」と「ウイルスの変異の抑制」が必要だと指摘。そのためには、世界中でワクチン接種率を引き上げることが急務だとしている。
テドロス事務局長は「2023年はパンデミックの急性期を終わらせる年にしなければならない」と述べ、各国に協力を呼びかけた。しかし、専門家の間では、ウイルスが季節性インフルエンザのように定着する可能性も指摘されており、長期的な対策が求められている。



