米軍、イラン国内の複数目標を空爆 暫定停戦合意が崩壊の危機に
米軍、イラン国内の複数目標を空爆 停戦合意崩壊の危機

米中央軍(CENTCOM)は27日、ホルムズ海峡を航行中の商船に対する新たな攻撃への対抗措置として、イラン国内の複数の標的を空爆したことを明らかにした。2月末に始まった中東紛争終結を目指す暫定停戦合意が、いまや崩壊の危機に瀕している。

タンカー襲撃への「直接の報復」

米中央軍は声明を発表し、今回の空爆は「イランの商船に対する継続的な攻撃への報復」だとした。米国の攻撃を前にイラン側は同日、原油約200万バレルを積載したパナマ船籍の石油タンカー「Kiku」を無人機で攻撃していた。

米軍は、イラン側の監視インフラ、通信システム、防空サイト、無人機保管施設、機雷敷設関連施設などを標的に攻撃を実施したと発表。イラン側では、シリクやゲシュム島周辺で複数回の爆発が確認されている。

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連続する攻撃と報復

ホルムズ海峡周辺では、26日にもイランによる商船「Ever Lovely」への攻撃があり、米軍も報復として空爆を行ったばかり。さらに27日未明にはバーレーンもイランによる無人機攻撃の標的となったとしている。一方、イランの革命防衛隊(IRGC)は「侵略が繰り返されれば、われわれの対応はさらに拡大する」と警告している。

連動するレバノン戦線

この海上での米イランの衝突と並行して、レバノンでも緊張が極限に達している。26日、米国が後押しする形でイスラエルとレバノン政府の間で長期的な和平合意が署名された。しかし27日、親イラン武装組織ヒズボラの指導者ナイム・カセム師はこの合意を「屈辱的であり主権の放棄だ」として非難し、無効だと宣言した。

一方、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は「レバノン南部に治安地帯を維持する権利がある」と主張。イスラエル軍は27日、枠組み合意発表後初となるレバノン南部への空爆を再開し、ナバティエ・アル・ファウカで死傷者が出た。イラン側は、これらイスラエルによる攻撃を「暫定停戦合意への露骨な違反だ」と強く非難している。

「低強度の強圧的行動を続ける可能性」

世界の石油や液化天然ガス(LNG)の約5分の1が通過するホルムズ海峡の緊張を受け、国際社会には懸念が広がっている。英シンクタンク・王立防衛安全保障研究所(RUSI)の専門家は「イランは国際海運に持続的な圧力をかけるため、全面衝突を避けつつ、低強度の強圧的行動を続ける可能性が高い」と分析する。11月に連邦議会の中間選挙を控える米国ワシントンには「早期合意へのインセンティブ」がある一方、イランにとっては「海峡でのコントロールされた圧力を伴う長期交渉の方が有利に働く」との見方を示した。

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