国連(UN)は29日、国際司法裁判所(ICJ)がイスラエルによるパレスチナ自治区ヨルダン川西岸の占領政策を違法と認定してから2年が経過した後も、入植者による暴力や領土併合は「悪化の一途をたどっている」との見解を示した。
入植者攻撃「過去最悪」
国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)は、イスラエル人入植者による攻撃や無許可の入植拠点の設置が「過去最悪の水準に達している」と指摘。各国に対し占領状態を終わらせるための具体的な行動を呼び掛けた。
OHCHRのラビナ・シャムダサニ報道官は声明で、「イスラエル政府による入植地・無許可入植拠点設置についての発表や、同国指導者によるパレスチナ人コミュニティーへの報復や集団的処罰の呼びかけ、ヨルダン川西岸を『第二のガザ』に変えるとの脅迫に強い危機感を覚えている」と述べた。
ICJ違法判断から2年
国際司法裁判所は2024年7月、ヨルダン川西岸地区などでのイスラエルの占領政策は国際法違反に当たるとする勧告的意見を言い渡した。ICJのナワフ・サラーム裁判長は当時、イスラエルには「不法な占領状態を可能な限り速やかに終了させる義務がある」と述べていた。
ヨルダン川西岸では、2023年10月にイスラム組織ハマスがイスラエルを襲撃し、ガザ地区での武力衝突が起きて以降、暴力行為が急増している。
移動制限と共同行動
シャムダサニ報道官は、入植者とイスラエルの治安部隊はしばしば一体となって行動していると指摘し、「地域のコミュニティや住宅を襲撃し財産の破壊や没収を行い、モスクへの放火も行っている」と批判。また「移動制限も強化され、パレスチナ人が必要な支援やサービスを受けることを妨げている」と付け加えた。
同氏はさらに「入植者の攻撃と入植拠点の建設が過去最悪に達する中、各国はパレスチナ人に対する殺害や追放行為、イスラエルの占領を終わらせるために緊急かつ一致団結して行動する必要がある」と強調した。
犠牲者の統計
パレスチナ側の集計によると、ガザでの武力衝突が始まって以降、ヨルダン川西岸では戦闘員を含む少なくとも1097人のパレスチナ人がイスラエル軍や入植者によって殺害されている。一方、イスラエル側の公式データによると、パレスチナ人による攻撃や軍の作戦行動中に死亡したイスラエル人(民間人および治安要員)は少なくとも48人に上る。



