英キングス・カレッジ・ロンドン(KCL)は、気候変動抗議活動に参加した卒業生に対し、同大学への損害賠償として学位の返還を求める異例の措置を取った。この動きは、大学の化石燃料投資に抗議する学生グループ「キングズ・クライメート・エマージェンシー(KCE)」のメンバーによる座り込みを受けたものだ。
抗議活動の内容と大学の対応
KCEは2022年10月、KCLが化石燃料企業への投資を続けていることに抗議し、大学の敷地内で座り込みを開始。抗議は数週間にわたり、大学側は施設の使用を制限するなどの措置を取った。その後、大学は参加した学生・卒業生に対して法的措置を検討していると警告。今回、特定の卒業生に対し、学位の返還を求める書簡を送付したことが明らかになった。
KCLの広報担当者は「大学は平和的抗議の権利を尊重するが、敷地内での違法行為や他の学生の学習権を妨害する行動は容認できない。学位は厳格な学問基準を満たした者に授与されるものであり、その価値を損なう行為は許されない」とコメントした。
卒業生の反応と専門家の見解
学位返還を求められた卒業生の一人は「大学が気候危機への対応を拒む中、私たちは行動を起こさざるを得なかった。学位を返還することで、大学の投資方針が変わるのであればそれもやむを得ない」と述べた。一方、法律専門家は「学位の返還要求は前例がなく、法的に有効かどうか疑問だ。大学の規約に基づく制裁の範囲を超えている可能性がある」と指摘する。
KCEは声明で「大学は気候変動への取り組みを避けるために、卒業生を脅迫している。私たちは大学に対し、化石燃料からの撤退を求める抗議を続ける」と強調した。
背景と今後の展開
KCLは2021年、化石燃料企業への直接投資を段階的に廃止すると発表したが、間接投資やファンドを通じた投資は継続している。KCEはこれを「不十分」とし、完全な撤退を要求している。
今回の学位返還要求は、気候変動抗議活動をめぐる大学と学生・卒業生の対立を先鋭化させるものだ。他の大学でも同様の抗議活動が発生しており、今後の対応が注目される。



