フーシとの対立激化でサウジ苦境、紅海輸出に打撃・原油高長期化の懸念
フーシとの対立激化でサウジ苦境、紅海輸出に打撃・原油高長期化の懸念

イエメンの暫定政権を支援するサウジアラビアが、イランを後ろ盾とする反政府勢力フーシとの対立激化で苦境に陥っている。フーシによる海上封鎖や軍基地・石油関連施設への攻撃が相次ぎ、世界最大級の産油国であるサウジの混乱は、高騰が続く原油価格をさらに押し上げかねない。

フーシの攻勢と紅海での妨害

14日、サウジ南西部のハミスムシャイトで警報が出た。フーシ勢力圏のイエメン北西部に近く、サウジ軍基地がある。フーシは声明で、「レーダーサイトや滑走路、弾薬庫を狙って、ミサイルやドローンを数十発発射した」と主張した。

米国などによる対イラン軍事作戦を受けて、イランがホルムズ海峡を事実上封鎖して以降、サウジはアラビア半島を横切る東西パイプラインを活用し、紅海沿いのヤンブーから石油を輸出。アジア向けのタンカーはバブルマンデブ海峡を通航していた。

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フーシは、紅海を経由した石油輸出の妨害を狙っている。紅海でサウジ関係船舶を対象に「海上封鎖」を行うと7月に宣言。8月にはヤンブー沖でタンカーをミサイル攻撃し、炎上させた。9月に入るとバブルマンデブ海峡周辺に攻勢をかけ、海峡の要衝ペリム島を制圧。サウジ南西部の石油関連施設も攻撃した。

イランの影と代理戦争

イエメン内戦は長年対立するサウジとイランの「代理戦争」と言われてきた。サウジは2015年、イエメンの政情を安定させるため、中東諸国と有志連合軍を結成して対フーシ空爆を始めた。22年に停戦したが、イラン情勢の影響で、くすぶっていた火種が再び発火した形だ。

イランは米国の軍事作戦開始後、事態が悪化すればバブルマンデブ海峡で「新たな戦線を開く」と脅していた。海上封鎖など、フーシの軍事戦略にはイランと類似点が多い。イランは最近のフーシの作戦には「関与していない」と強調する。だが、ロイター通信によると、イランの精鋭軍事組織「革命防衛隊」幹部数人がイエメン入りしていた。

10日にはフーシの動きと連動するように、サウジのパイプラインがイラクの親イラン勢力のドローン攻撃を受けて操業を停止した。

世界経済への波及

パイプラインの復旧について、ロイターは「5~6週間要する」との見方を報じた。サウジはこのパイプラインを使い、世界の供給量の約4%に当たる日量約400万バレルをヤンブーから輸出していた。事態が長期化すれば原油市場にも影響を及ぼすのは必至だ。

日本政府はイラン情勢を受けて、石油の調達ルートの多角化を進めており、中東への依存度を約6割まで減らしている。ただ、7月時点でサウジは米国、アラブ首長国連邦に次ぐ第3位の輸入相手国だ。サウジから日本に向かうタンカーは現在、紅海の北にあるスエズ運河を抜けて、南アフリカ・喜望峰を回るルートを通っており、到着までの日数の増加や輸送コストの上昇は避けられない状況だ。

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