中国の粽は肉入りおこわ、月餅は油っぽい大物…日本と異なる食文化の実態
中国の粽は肉入りおこわ、月餅は油っぽい大物…日本と異なる食文化

中国の食文化は日本とは大きく異なり、同じ料理名でも中身や食べ方がまったく違うことが少なくない。ジャーナリストの中島恵氏は著書『中国の回鍋肉にキャベツは使わない』(ウェッジ)で、そうした差異と、中国人の日本食に対する憧れの変遷を詳述している。

粽は甘いお菓子? 中国ではおこわ

日本では端午の節句に食べる甘い和菓子のイメージが強い粽(ちまき)だが、中国ではまったく異なる。中国語で「粽子(ゾンズ)」と呼ばれる粽は、もち米に野菜や肉を加えて炊いた味付けおこわであり、笹の葉で包まれているが中身は甘くない。この習慣は、中国の詩人で政治家の屈原の故事に由来する。屈原が入水自殺した5月5日、民衆が彼を悼んで米を竹筒に入れて川に投じたが、龍に食べられてしまったため、龍が嫌う葉で包み、五色の糸で縛って流したという伝承が起源だ。日本に伝わった後、なぜか甘い和菓子として定着した。

在日中国人の増加に伴い、2010年代後半から東京都内の中華料理店では、端午節が近づくと「粽の注文承ります」と宣伝する店が増えた。中島氏も銀座の武漢料理店「珞咖壹号」の粽を友人からもらい、食べた経験がある。中華料理店のメニューにはあまり載らないが、中国人のSNSグループでは「手作り粽はいかがですか?」と冷凍品を販売する人もおり、季節の移ろいを感じさせるという。

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月餅は大きくて油っぽい本場の味

中秋節(旧暦8月15日)に食べる月餅も、日本と中国では大きく異なる。日本では1927年に新宿中村屋が小豆あん入りの小ぶりな月餅を発売し、それが定着した。崎陽軒の月餅も有名だ。しかし本場中国の月餅は形状も中身も異なる。ラードを使った生地に、アヒルの塩漬け卵黄、小豆、ハスの実、黒ゴマ、クルミ、松の実、ナツメなど多彩なあんを包む。最も一般的な「広式月餅」のほか、蘇式(蘇州式)、京式(北京式)など地方ごとにバリエーションがあり、いずれも日本のものよりサイズが大きく、油っぽいのが特徴だ。

ドラえもんのどら焼きが中国人の憧れだった

中島氏は、中国人の日本食に対する憧れの象徴として、ドラえもんに登場するどら焼きを挙げる。かつて中国の若者にとって、どら焼きはアニメの中でしか見られない「贅沢な甘いお菓子」であり、日本への憧れの対象だったという。実際に中国ビジネスの先駆者たちは、日本土産としてどら焼きをよく持ち帰り、中国人の大歓声を浴びたエピソードもある。このように、アニメを通じて日本の食文化を知る中国人は多く、現在もその影響は続いている。

日本の食べ物が世界から人気を集める理由の一つは、アニメや漫画による情報発信の力にある。中島氏は、こうした文化的な架け橋が、日本と中国の食の違いを超えた理解を生むと指摘している。

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