米共和党は近年、根強い人気を背景にトランプ大統領が強い支配力を及ぼしてきた。トランプ氏の政治運動「MAGA(Make America Great Again、米国を再び偉大に)」はなぜこれほどの勢いを得て、党を左右するほどの政治力を持つに至ったのか。その経緯と課題をQ&A形式でまとめた。
共和党の伝統的な支持基盤
戦後の共和党は長く、都市部の大企業の経営層や、地方の自営業者・農民などに支えられていた。1981年に大統領に就いたレーガン氏は福祉削減と減税による「小さな政府」の政策を進め、それがかつての党の主流路線だった。
20世紀の米国政治できわめて重要だったのが、1930年代のルーズベルト民主党政権によるニューディール政策だ。共和党の政策は、労働者の保護などを通じて国家の経済介入を強めたニューディールを意識し、対案を示そうとするものでもあった。
グローバル化と労働者の不満
冷戦終結後、90年代にグローバル化が進むと、米国で製造業が衰え、「労働者の党」だった民主党が都市部の高学歴層などにより軸足を移していく。IT(情報技術)を中心に米経済は好調だったが、格差が広がって労働者や中間層の不満がつのっていった。
ブッシュ(子)共和党政権が始めた対テロ戦争は米国社会に失望を広げ、08年のリーマン・ショックでは、低所得者や労働者層が大きな打撃を受けた。その不満をすくい取り、労働者の味方だとして登場したのがトランプ氏だ。
「MAGA」の象徴としての利用
「Make America Great Again」の標語はレーガン氏も使ったことがある。しかし「トランプ」の名で様々なビジネスを展開し、ブランド戦略にたけたトランプ氏は、この標語を不満を持つ米国民を広くまとめるシンボルとしてたくみに利用した。
運動の弱点と今後の展望
MAGAはトランプ氏の個性に頼る面が大きく、運動を次の政治家が引き継ぐのは簡単ではない。指導者の行き過ぎに対するチェック機能が働きにくい点が弱点でもあり、柱だったはずの軍事介入の抑制もトランプ氏のイラン攻撃の決断で迷走した。何を目指す運動なのか、混乱が著しい。
ただ、社会の多様化や格差拡大に反発する保守派の底流は根強く、形を変えながら今後も米国政治に大きな影響を与えるだろう。