グテレス氏、最後の国連演説で多国間協調訴え 安保理機能不全に警鐘
グテレス氏最後の国連演説、多国間協調訴え 安保理機能不全に警鐘

今年末で任期満了を迎える国連のアントニオ・グテレス事務総長は22日、国連総会の一般討論で最後の演説を行い、2期10年の間に深刻化した世界の分断に強く警鐘を鳴らし、国連主導で各国が協調する多国間体制の再構築を訴えた。

「世界の亀裂は峡谷と化した」

グテレス氏は演説の冒頭で10年間を振り返り、「世界の亀裂は広がり続け、割れ目は峡谷と化した」と指摘した。任期中にはロシアのウクライナ侵略や中東危機など多くの危機に直面したが、安全保障理事会は常任理事国の中国やロシアと米国の対立などから機能不全に陥っている。

グテレス氏は人類にかつてない脅威が迫っているとし、「いかなる大国も単独で今日の課題を解決することはできない」と強調。覇権競争を繰り広げる米中に苦言を呈し、「超大国が、自らの力が決して超大ではないことを認識する」ことが平和や安定を取り戻す第一歩だと訴えた。

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安保理改革とAIリスク管理

安保理改革については、「現在の世界を反映していない」と批判し、アフリカ諸国の常任理事国入りを求めた。人工知能(AI)の危険性については、初めて臨んだ2017年の一般討論演説から警告してきた。今回の演説では、AIを人間を支配する「新たな権力」とし、安全措置や独立した監視体制など国際的なリスク管理を訴えた。

気候変動を巡っては、ロシアのウクライナ侵略以降、大手石油会社が巨額の利益を得ていると批判。途上国が変動に適応するための資金が不足しているとし、「略奪を終わらせよう」と呼びかけた。

国際秩序の先行き

グテレス氏が世界の連帯を求める一方、各国首脳の視線は、自国第一主義を掲げるトランプ米大統領に集まっており、国際秩序の先行きは見通せない状況だ。

グテレス氏の後任の選出作業が進んでいるが、調査研究機関「国際危機グループ」国連担当のリチャード・ゴーワン氏は、「グテレス氏の退任後、米国やその他の主要国が国連の権威を損なうことを懸念している」としている。

立候補していたチリのミチェル・バチェレ元大統領は19日、撤退を表明した。人工妊娠中絶の権利を擁護するなどリベラルな姿勢で知られ、米国が「懸念」を表明していたことが影響した可能性もある。バチェレ氏は「多国間主義といった原則に強い逆風が吹いている」と述べた。

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