ジュリア・カーリー氏は、米中央情報局(CIA)の元アナリストで、バイデン政権と第2次トランプ政権でホワイトハウスの国家安全保障会議(NSC)ディレクターを務めた。2025年4月に解任された同氏は、7月に発表した論文でNSCが機能不全に陥る過程を明らかにし、「米NSCの弱体化は日米同盟の基盤をむしばむだろう」と訴えている。
トランプ米政権では相互関税や対イラン軍事作戦などの政策が迷走している。カーリー氏は、NSCの最も重要な機能は「調整」だと指摘する。米政府の他のどの機関も調整を成し遂げられず、NSCの役割は、政策決定が大統領に届く前に国務省、国防総省、情報機関、財務省の競合する点を公平に調整することだという。
調整が失われれば外交的出口も消える
カーリー氏は、国防総省が国務省との協議なしに作戦を計画すると、外交的な出口は大統領が検討する前に選択肢から消えてしまうと指摘した。その上で「調整こそが、米政府として一体的に行動することを可能にするのです」と強調した。
調整機能を発揮するための条件としては、まず対外軍事・情報活動の決定プロセスを階層化した段階的な委員会構造を実際に稼働させる必要があると挙げる。さらに、CIAや国務省、国防総省、財務省から派遣される専門知識を持つキャリア職員が必要だと説く。
専門知識は政治的忠誠心で代替できない
専門知識を職務に生かすには12~18カ月かかり、政治的忠誠心で代替できるものではないとカーリー氏は話す。第2次トランプ政権では、NSCの政策スタッフは186人いたが、50人未満になったという。



