中国軍は2026年7月、戦略原子力潜水艦から潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)とみられるミサイルを発射した。元自衛官で東アジアの安全保障情勢に詳しい五十嵐隆幸・目白大学准教授は、今回の発射で「米国は戦略転換を迫られる」と指摘する。
発射されたミサイルの型式は「巨浪3」か
中国軍の発表では「戦略弾道ミサイル」を発射したとされるが、具体的な型式は明らかにされていない。中国内外の複数の分析では、射程が1万キロを超える「巨浪(JL)3」だとする見方が強い。
飛行距離からすれば、中国軍が保有するJL2(射程7千~8千キロ程度)の可能性もあるが、五十嵐氏は「断定はできないものの、私もやはりJL3ではないかと考えています」と語る。
訓練評価段階に入ったと中国国営テレビが解説
中国国営中央テレビで解説した専門家は、今回の発射は試験段階を終えて訓練評価段階に入ったと説明している。さらに、新型潜水艦と新型弾道ミサイルの作戦能力を検証するため、実戦と同様に水深20~30メートルから発射されたと指摘した。
五十嵐氏は、JL2は配備済みのため中国政府がいまさら大々的に報じることはしないだろうとし、「JL3は25年9月の軍事パレードで公開され、実戦配備に向けて着々と準備が進められている段階だと思われます」と述べる。
南シナ海からの発射と「戦略パトロール」への布石
今回のミサイルは南シナ海から発射されたとみられている。五十嵐氏は「いよいよだな」と思ったという。中国が目指す「戦略パトロール」の実現に向けた一歩とみられる。
中国はミサイルの発射を公表したが、なお明らかにされていない情報もある。五十嵐氏は性能や中国軍の意図などを分析するとともに、「台湾有事」への影響などについても解説している。



