北朝鮮産ビールは粗悪品ではない、英国直伝の本格醸造が生む隠れビール大国の実態
北朝鮮は粗悪品にあらず 英国直伝のビール大国の実態

「北朝鮮製」と聞けば、多くの人は制裁下の貧しい国が作る時代遅れの粗悪品を思い浮かべるかもしれない。しかし北朝鮮は、想像をはるかに超える素晴らしい製品を製造している。それは「ビール」だ。

キリンビールの調査によると、日本は世界で11番目にビールを消費する国(年間1人当たり34.5L)だが、市場の主流はすっきりしたピルスナーが中心だ。一方、中国・中朝国境の街で筆者が出合った北朝鮮ビールは、英国直伝の本格的な醸造スタイルを色濃く残す重厚な味わい。麦芽の芳醇な香りとホップの苦味、きめ細やかな泡立ちが素晴らしいクオリティだ。

英国直伝の醸造技術

なぜ北朝鮮のビールは本格的なのか。その背景には、国家の威信をかけた歴史的な執念がある。北朝鮮の超有名ブランド「大同江ビール」を軸に、2000年に時計を戻そう。

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同年、英国で約200年の歴史を持つ老舗醸造所「Ushers(アッシャーズ)」が経営破綻した。北朝鮮は「苦難の行軍」と呼ばれる経済不況にあり、諸外国の人道的支援を受けていた。その資金を元手に、故・金正日総書記の特命で、この醸造所の設備一式を150万ポンドで丸ごと買い取った。

驚くべきはその徹底ぶりだ。現地に派遣された代表団と技術者たちは、主要な機械だけでなく、工場建屋のワークショップ全体を完璧に解体して運び出した。当時の関係者は「壁に埋め込まれた配線に至るまで全て引き剥がして持ち去った」と回顧する。こうして数千km離れた平壌へ移設された。

厳格な管理体制が育むクオリティ

北朝鮮のビールは、厳格な管理体制の下で生産されている。醸造工程は徹底的に管理され、品質の均一性が保たれている。これが、本格的な味わいを支えている。

また、北朝鮮産のホップは力強い味わいを生み出し、特に「大同江ビール 黒ビール5号」はコーヒーを思わせるコク深い味わいで知られる。

多様なビールと地方経済

北朝鮮では、各都市にビアホールが続々と誕生している。地方経済自立のための戦略的手段として、ビール製造が奨励されているのだ。多種多様なビールが製造され、文明的で豊かな生活の象徴ともなっている。

外交関係と輸出

外交関係の変化に伴い、北朝鮮ビールの輸出先も変更されてきた。国際的な制裁の影響を受けながらも、その品質は一定の評価を得ている。

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