中国、EV向けレアアース輸出規制へ 米中対立激化
中国、EV向けレアアース輸出規制へ 米中対立

中国政府は、電気自動車(EV)やハイテク製品に不可欠なレアアース(希土類)の輸出規制を強化する方針を固めた。米国との先端技術を巡る対立が一段と深まる中、世界のサプライチェーンに大きな影響を与える可能性がある。

規制の背景と内容

中国商務省と工業情報化部は、レアアースの輸出管理に関する新たな規制案を発表。この案では、レアアースの採掘、製錬、輸出に関する許可制を厳格化し、国家安全保障や国際的な義務に反する場合には輸出を禁止できるとしている。規制の対象には、EVモーターや風力タービン、軍事機器などに使われる磁石の原料となるネオジムやジスプロシウムなどが含まれる。

中国は世界のレアアース生産の約60%を占め、精製工程ではさらに高いシェアを持つ。このため、中国の輸出規制は世界的な供給不足を引き起こす可能性が高い。

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米中対立の新たな局面

この動きは、米国が半導体や人工知能(AI)分野での中国への技術輸出を制限する中で、中国が報復措置としてレアアースの供給を武器に使う姿勢を明確にしたものとみられる。米中両国は、先端技術分野での覇権争いを激化させており、レアアース規制はその新たな局面と位置づけられる。

中国商務省の報道官は「規制は国家安全保障と国際義務を守るためのものであり、特定の国を標的にしたものではない」と述べている。しかし、専門家は「中国がレアアースの供給を戦略的に利用していることは明らかだ」と指摘する。

世界への影響

レアアースは、EVや再生可能エネルギー技術、軍事機器など幅広い分野で不可欠な素材であり、中国の規制は世界中の企業に直接的な打撃を与える。特に、米国や欧州連合(EU)、日本などの自動車メーカーやハイテク企業は、代替供給源の確保を迫られることになる。

米国地質調査所(USGS)のデータによると、2022年の世界のレアアース生産量は約30万トンで、そのうち中国が21万トンを占めた。米国はわずか4万3000トンで、精製能力では中国に大きく依存している。

米国政府は、レアアースの国内生産やリサイクル技術の開発を加速させる方針だが、短期的な代替は困難とみられる。

今後の展望

中国の規制強化は、世界のサプライチェーンの再編を促す可能性がある。各国は自国内でのレアアース生産や、中国以外の供給源の開拓を急ぐと予想される。また、リサイクル技術の進展や、レアアース使用量の削減に向けた研究開発も加速するだろう。

一方で、規制が実施されれば、EVやエレクトロニクス製品の価格上昇につながる恐れもある。国際エネルギー機関(IEA)は、クリーンエネルギー技術への移行に伴い、2040年までにレアアースの需要が現在の3〜7倍に増加すると予測しており、供給制約が世界の脱炭素化の取り組みに悪影響を及ぼす可能性も指摘されている。

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