未踏峰ジャルキャヒマール、4年越し登頂に成功 札幌の登山隊
未踏峰ジャルキャヒマール、4年越し登頂に成功 札幌の登山隊

札幌市の登山ガイド、野村良太さん(31)らが5月、ヒマラヤ山脈の「ジャルキャヒマール」(標高6473メートル)の登頂に成功した。日本山岳会(東京)によると、ジャルキャヒマールはネパール政府が公表する「未踏峰」の一つ。初挑戦から4年越しの目標達成を振り返り、野村さんは「山頂に向けて伸びる1本の足跡ができていたことが、この上なくうれしかった」と喜びを語った。

道内雪山で鍛錬

ジャルキャヒマール登頂に挑んだのは、野村さんと竹中雅幸さん(36)、杉本龍郎さん(38)の3人の登山隊。最初の挑戦は2023年春だったが、悪天候のため6270メートルで撤退。経験したことのない高山病に悩まされた野村さんは「隊の戦力になれなかった」と当時を悔やむ。

野村さんは帰国後も道内で登山を続け、24年秋には同じヒマラヤ山脈のマナスル(標高8163メートル)に挑んだ。それでもジャルキャヒマールへの思いは増すばかり。登頂を断念した悔しさを感じていたのは自分だけでないこともわかり、3人での再挑戦を決めた。

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野村さんと竹中さんは今年3月、日本を出発し、その後杉本さんも合流。前回の経験を踏まえ、登山期間を1週間延ばし、1日の行程を減らして、標高に体を慣らす時間を増やした。

吹雪の中の先導

5月9日にベースキャンプを出発し、午後3時頃、キャンプ予定地に近い標高5900メートル地点にたどり着いた。しかし、吹雪で視界が遮られ、氷の裂け目「クレバス」がどこにあるかも分からない。

「撤退」の選択肢も浮かぶ中、力を発揮したのが、道内の雪山で経験を積んできた野村さんだった。コンパスを手に、「こういう天候は僕が得意です。任せてください」と2人を先導した。吹雪が弱まり視界が開ける一瞬を逃すまいと目を凝らし、約1時間半かけて1キロほど進むと、目印の旗を発見。無事にテントを張ることができた。

家族でき絆深く

翌10日には3年前に到達した6270メートル地点へ。「前回の続きがやっと始まる」と心が躍った。6350メートル地点でテントを張って一夜を明かし、11日に山頂へのアタックを開始した。

先頭の竹中さんがクレバスに落ちるなど油断できない環境の中、「人類初」の足跡を残しながら一歩ずつ進み、午後0時5分、ついに山頂に到達した。ヒマラヤの山々を覆う雪や氷の白色と、空の紺色のコントラストが美しかった。3人は何度もハイタッチし、歓声を上げた。

前回の挑戦後、3人にはそれぞれ子供ができた。野村さんは「守るべき家族ができたことで絆が深くなり、雪辱を果たすために心を一つにした」と振り返る。未踏峰の制覇はもちろん、3年前に途切れた足跡を、3人で山頂まで一筋につなげることができたのが何よりうれしかったという。

「3年前の登山があったからこそ、今回の成功がある。前回は『敗退』ではなく『撤退』だったと言える」と笑う野村さん。「今後もヒマラヤの山に挑戦したい」と次を見据えている。

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