博多―鹿児島中央間で九州新幹線を使って荷物を即日輸送するJR九州の「はやっ!便」のサービスが再開した。熊本地震の影響で一時停止していたが、九州新幹線が全線で運行を再開したことに伴い復活した。
特に生鮮食品は鮮度を保ったまま福岡都市圏などの消費者に届けることができる利点があり、鹿児島県内の生産者からも期待の声が上がっている。
早朝のカツオが朝には博多駅に
5日朝、早朝に水揚げされ、すぐにたたきに加工されたカツオ70パックのほか、タカエビやキビナゴなどが鹿児島中央駅で新幹線の業務用室に積み込まれた。
新幹線は午前10時24分に同駅を出発し、約1時間半後には博多駅に到着。輸送された県産品は博多駅構内でJR九州が開催する「つばめマルシェ」の会場に並んだ。マルシェには、熊本県や大分県など、新幹線や在来線特急で運ばれた九州各地の商品も販売され、多くの客が買い求めていた。
鮮度を生かした出荷に期待
5日のマルシェに出品した水産加工販売会社の山実水産(鹿児島市)は、3年ほど前から「はやっ!便」を利用して福岡などに出荷してきた。カツオのたたきを中心にカンパチ、タカエビなどを1回当たり約100パックを運び、年間の輸送量は約1万パックに上る。
早朝に水揚げされ競り落とした海産物を加工し、午前中の新幹線に積み込めば、即日福岡の取引先に届けられる。午後にはスーパーの店頭に並び、飲食店の夜の営業でも提供できる。輸送費はトラックよりも割高だが、鮮度を付加価値として売り出し、リピーターの獲得や大阪など関西方面への販路拡大にもつながっているという。
山口憲一郎社長(59)は「魚は鮮度が命。当日にお客さんの手元に届くのは画期的なこと。(「はやっ!便」が)再開されたことで、鹿児島の海の幸を、また多くの人に知ってもらえる」と期待を寄せた。
サービス再開の経緯と今後の展望
JR九州によると、「はやっ!便」は新幹線や在来線特急のスピードと定時性を生かした荷物輸送サービスで、2021年に始まった。これまでも九州各地の農水産物や地域産品のほか、血液検体やキャリーケースなど様々な荷物の輸送に活用されてきた。
7月に熊本地震が発生すると、新幹線の運休に伴ってサービスを一時停止。8月17日には博多―熊本間で受け付けを再開し、9月18日には九州新幹線が全線で運行を再開したことを受け、博多―鹿児島中央間の全区間でも受け付けを再開した。
JR九州営業課の石井太志主査は「即日配送が一番のメリット。魚のように鮮度が重要な荷物をいち早く届け、これからもマルシェや飲食店を通じて鹿児島の食の魅力を広めていく手助けがしたい」と話している。