関税政策の経済的影響を試算
米国の有力シンクタンク、ピーターソン国際経済研究所(PIIE)は7日、トランプ前大統領が提唱する包括的な関税政策が米国経済に与える影響について、詳細な試算結果を公表した。同試算によると、トランプ氏の関税案が完全実施された場合、米国の実質国内総生産(GDP)は最大で0.4%押し下げられる見通しだ。
PIIEの報告書は、トランプ氏が大統領選挙公約として掲げた「全輸入品への10%の基本関税」および「中国製品への60%の追加関税」が同時に発動されたシナリオを想定。これにより、米国の消費者物価は短期的に0.5%上昇し、家計の購買力を直撃すると分析している。
消費者負担と雇用への波及
試算では、関税によるコスト増加分の大部分が米国内の消費者に転嫁され、中間層以下の家計に特に大きな負担が生じると指摘。輸入品の価格上昇に加え、報復関税による輸出産業の打撃もGDP押し下げ要因となる。
「トランプ氏の関税政策は、米国経済に明確な悪影響を及ぼす」とPIIEのシニアフェロー、メアリー・ラブリー氏は述べている。同氏は「関税は保護された産業の雇用を一時的に守る可能性があるが、全体としては雇用を減少させる」と警告した。
貿易摩擦激化のリスク
さらに、関税発動によって中国や欧州連合(EU)など主要貿易相手国が報復措置に踏み切る可能性が高く、貿易摩擦の激化が世界経済の不確実性を高めるとの懸念も示された。PIIEは、報復関税を含めたシナリオではGDP押し下げ効果がさらに拡大すると試算している。
トランプ陣営はこれに対し、「関税は米国の製造業を再生させ、長期的な雇用創出につながる」と主張しているが、PIIEの分析はこうした主張に真っ向から反論する形となった。



