エルドアン大統領下トルコ、クーデター未遂10年で公職追放の烙印が今も消えず
クーデター未遂10年 公職追放の烙印消えず

2017年1月6日の夜、トルコ北西部の国立病院で専門医として働いていたオメル・ゲルゲリオールさん(60)は、就寝前にインターネットを開き、官報に自分の名前が掲載されているのを発見した。2016年7月15日のクーデター未遂事件後、公職追放が相次いでいることは知っていたが、医師である自分に降りかかるとは思っていなかったという。

クーデター未遂事件を受けて発令された非常事態下で、政府は政令によりテロ組織などとの「所属、関係、接触」があるとされた公務員を公職から追放する措置を取った。ゲルゲリオールさんもそのリストに含まれていた。彼はSNSに投稿した内容が問題視されたとみられるが、具体的な理由は明らかにされていない。

公職追放の実態と影響

トルコ政府の発表によると、クーデター未遂後、約13万人の公務員が解雇または停職処分を受け、約5万人が逮捕された。この大規模な粛清は、司法、教育、医療、メディアなど幅広い分野に及び、社会に深い傷跡を残した。

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ゲルゲリオールさんは「医師としてのキャリアを突然断たれ、テロリストのレッテルを貼られた。無実を証明するのは困難で、今も烙印は消えない」と語る。彼のように、明確な証拠なしに公職を追われた人々は多く、再就職もままならない状況が続いている。

非常事態下の政令と人権問題

トルコ政府は、クーデター未遂の首謀者とされるギュレン運動の撲滅を名目に、非常事態宣言を発令し、政令による統治を2年間続けた。この間、議会の承認なしに大統領令で法律を改正・制定できる権限が大統領に与えられ、批判的なメディアや学者への弾圧が強化された。

国際人権団体は、これらの措置が法治主義や表現の自由を侵害していると非難している。欧州評議会は2025年の報告書で、トルコの司法の独立性や民主主義の後退を懸念している。

社会に残る分断と恐怖

クーデター未遂から10年が経過した今も、トルコ社会には深い分断が残る。政府支持派はエルドアン大統領の強硬な対応を支持する一方、反対派は民主主義の衰退を嘆く。ゲルゲリオールさんのような公職追放者は、日常的に監視や差別にさらされ、声を上げることも難しい。

「あの夜から人生が変わった。今も毎日が不安だ」とゲルゲリオールさんは語る。彼は現在、弁護士と協力して復職を目指しているが、司法の壁は厚い。

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