1976年8月18日、朝鮮半島の南北軍事境界線上にある板門店で、北朝鮮軍兵士が米軍将校2人を殺害したポプラ事件。この事件をめぐり、米韓両国の頭を悩ませたのが「北朝鮮の意図」だった。
CIAは「計画的挑発」と分析
事件直後の8月18日に米ホワイトハウスで開かれた緊急会議(WSAG)で、米中央情報局(CIA)はポプラ事件について「ほぼ確実に、北朝鮮による計画的挑発」と報告した。76年11月に迫った米大統領選に向け、米国世論を揺さぶろうとしていると分析した。
在韓米軍撤退の思惑
6回の訪朝経験がある山本栄二元駐ブルネイ大使は「北朝鮮が在韓米軍を撤退させるチャンスだと感じていた時期だった」と語る。事件の前年にあたる75年4月、ベトナム戦争が終結した。山本氏によれば、金日成主席はこのころ、在韓米軍撤退に向けて「失うものは軍事境界線であり、得られるものは統一だ」と語っていたという。
76年の米大統領選で勝利したジミー・カーター氏は、民主党候補の指名を獲得する前の同年6月、「韓国と日本と協議し、徐々に在韓米軍を撤退させることは可能だろう」と語っていた。CIAと在韓米軍司令部は「金日成氏の命令」と判断したが、誰が事件を指示したのかは今も謎のままだ。



