難航したクロマグロの漁獲枠交渉が、日本側の要求通りに決着したのは朗報だ。各国・地域とさらに丁寧な話し合いを重ね、日本への配分も確定させてもらいたい。
国際会議で日本の提案が採択
太平洋クロマグロの資源管理を話し合う国際会議で、大型魚の漁獲枠を25%増やす日本の提案が全会一致で採択された。増枠での合意は2年ぶりとなる。将来もマグロ資源が守られるような、新たな管理方式も決まった。
7月の会議でメキシコが土壇場で反対に回ったが、異例の再交渉の末、合意を取り付けた。高級なすしネタや刺し身でクロマグロの人気は高い。価格の低下につながる可能性があり、歓迎したい。
合意の詳細と配分の焦点
クロマグロは太平洋を広く回遊する。日本、韓国、台湾などを含む中西部太平洋地域の委員会と、米国やメキシコなどが属する東部太平洋の委員会が、それぞれ漁獲量を管轄している。会議は両委員会が合同で開いている。
メキシコが反対したのは東側の漁獲枠拡大を求めたためだ。今回の合意では東部は大型、小型の区別なしに2%増の7740トンと東側にも配慮した形で決着した。また、中西部での大型魚を25%増の1万4836トン、小型魚は6%減の4823トンとした。
農林水産省の山下雄平副大臣が7月末にメキシコを訪れて、合意案に理解を得た。漁業外交を立て直したことは評価できよう。
今後の配分交渉と資源管理の課題
今後の焦点は、増枠分の配分交渉となる。日本は中西部での漁獲枠を7割ほど持つ。大型魚の約3000トンの増枠分のうち、2000トン程度を得られる計算になる。だが韓国は、日韓台で増枠分を均等に配分するよう求めている。
11月末からバヌアツで開かれる年次会合までに配分を決める。
太平洋クロマグロは、過去の乱獲で資源量が減少し、2010年には1・2万トンまで減少した。危機感を高めた日本が主導して、15年から国際的な漁獲規制を始め、22年には過去最高となる14・4万トンにまで回復した。
この結果、近年、マグロが増えすぎて沖合の定置網を傷つける被害も多発することになり、国内の漁業者からは不満が出ていた。
世界的な和食ブームでマグロの需要は急増し、自国の増枠を求める声は強まっている。配分交渉は厳しくなることが予想される。
世界有数のマグロ消費国である日本は資源管理に重い責任を負う。農水省は各国・地域に対し、説得力ある提案を練って、日本枠への理解を得ることが大切だ。



