周りから慕われる人と、そうでない人の違いは何か。sooupコンサルティング社長の和田博信さんは「予期せぬ事態への対応にこそ、その人の本質が出る。例えば部下がミスをしたとき。指摘の内容は同じでも、『伝え方』一つで、信頼関係は一瞬で崩れてしまう」という。
トラブル発生時に有効な「2つの質問」
和田氏は、質問とは単純に疑問形で「聞くこと」ではないと指摘する。コンサルはコーチングの技術を用いて相手を動かす。コーチングとは、対話を通じて相手の可能性を引き出し、目標達成をサポートする関わり方だ。
コーチングでは、相手が自分の頭の中を整理できる質問をする。ポイントは、思考のプロセスを聞くことである。例えば仕事でトラブルが起きたとき、「なんでそんなことになったの!」と聞く人がいる。このような質問では追い詰めているだけで、相手は謝罪しかできない。そうではなく、「この状況になるまで、どんな流れがありましたか?」と、問題がどこで起こったのかを相手に考えてもらう。
もう一つのポイントは、思考の角度を変えるように聞くことだ。問題に直面すると、どうしても視野が狭くなる。そこで、「もし、もう一度やるとしたら、どこを変えますか?」と、視点を広げる質問を投げかける。視点が変わると、見える構造も変わってくる。
また、答えを決めない質問を投げかけることも意識しなければならない。質問の中に答えを含めてしまうと、相手の思考はその方向に引っ張られる。「忙しかったから、ミスしてしまったんですか?」と聞けば、相手は忙しさを理由に説明するだろう。しかし「どんな要因がありましたか?」と聞けば、相手は自分の考えで状況を整理し始める。質問とは、相手に答えを言わせる技術ではなく、相手が自分の思考を言葉にできる場をつくる技術だと和田氏は述べている。
「何を言ったか」より「どう伝えたか」
人間関係の問題の多くは、「何を言ったか」よりも「どう伝えたか」で起きている。同じ内容でも、言い方が変わるだけで受け取られ方は大きく変わる。正しいことを言っているのに関係がぎくしゃくする、説明しているのに相手が納得していない――そうした場面の多くは、伝え方に原因がある。
まず意識したいのは、「相手をベースに言葉を選ぶ」視点である。私たちは自分の頭の中で理解している言葉を、そのまま相手も同じように理解していると勝手に解釈してしまう。実際には、同じ言葉でも人によって捉え方は違う。例えば「簡単にまとめてください」という言葉でも、人によって思い浮かべる内容は異なる。ある人は「要点を三つくらいに整理して箇条書きにする」と考えるかもしれないし、別の人は「資料を一枚にまとめる」と理解するかもしれない。同じ言葉を使っていても、頭の中で描いているイメージが違えば、結果として出来上がるものも変わってしまう。伝えるときには「どの状態を指しているのか」を具体的に言葉にする必要があると和田氏は指摘している。
※本稿は、和田博信『いつも機嫌のいい人が考えていること』(総合法令出版社)の一部を抜粋・再編集したものです。



