欧州の電気自動車(EV)市場が急速に冷え込み、域内の自動車メーカーが深刻な業績悪化に直面している。2024年上半期の新車販売台数は前年同期比で約5%減少し、特にEVの販売は同15%近く落ち込んだ。背景には、補助金の縮小や充電インフラの未整備、高金利による購買意欲の減退がある。
フォルクスワーゲン、工場閉鎖の可能性も
ドイツのフォルクスワーゲン(VW)は、主力ブランドの販売不振を受け、ドイツ国内の工場閉鎖を検討していると報じられた。VWのCEOは「コスト削減は不可避であり、生産能力の調整が必要だ」と述べ、厳しい状況を認めた。同社の2024年第2四半期の営業利益は前年同期比で20%減少し、EV部門の赤字が拡大している。
ステランティス、北米市場でも苦戦
欧米の大手自動車グループ、ステランティスも同様に苦境にある。同社は2024年上半期の純利益が前年同期比で48%減少したと発表した。特に北米市場での在庫過剰が響き、同地域の売上高は14%減少。タバレスCEOは「業界全体が厳しい移行期にある」とコメントし、コスト削減とEV投資の見直しを進める方針を示した。
中国EVメーカー、低価格で攻勢
一方、中国のEVメーカーは欧州市場で存在感を高めている。BYDは2024年上半期の欧州での販売台数を前年同期比で約3倍に伸ばし、特にドイツやフランスでシェアを拡大。低価格モデル「シール」や「アットー3」が人気を集め、欧州メーカーの高価格帯EVと競合している。BYDは欧州での現地生産も計画しており、2025年にはハンガリー工場の稼働を予定している。
欧州メーカーの生き残り戦略
欧州メーカーは、高級車やプラグインハイブリッド車(PHEV)に注力することで差別化を図っている。メルセデス・ベンツはEVシフトのペースを緩め、PHEVのラインアップを強化。BMWも同様に、内燃機関車の需要が続く限り、多様なパワートレインを提供する方針だ。しかし、こうした戦略が長期的に奏功するかは不透明で、中国メーカーの低価格攻勢に対抗するには、抜本的なコスト削減と技術革新が不可欠とされる。
政策支援の重要性
欧州連合(EU)は、2035年までに内燃機関車の新車販売を実質禁止する方針を掲げるが、足元の販売低迷を受けて、加盟国からは柔軟な対応を求める声が上がっている。フランスやドイツはEV購入補助金を削減しており、これが需要減退の一因となっている。業界団体の欧州自動車工業会(ACEA)は「政策の一貫性と充電インフラへの投資が不可欠」と訴えている。



