中国では現在、1979年以降に生まれた「一人っ子世代」が中年期にさしかかり、親の世代が高齢化して要介護状態になるケースが増えている。国家衛生健康委員会と中国民政省の推計によると、中国の要介護および認知症の高齢者は4500万人を超え、高齢者の平均6人に1人が日常的に介護を必要としている。
こうした現状に対し、中国では専門的な介護サービスの供給が大幅に不足しており、介護の重い負担が家族に集中している。そのため、無数の中年の一人っ子たちが、長期にわたる身体的・精神的な消耗、キャリアの断絶、経済的困窮といった幾重もの苦難に耐えている。
介護離職後の生活は親の年金頼み
38歳の張薇さんは3年前に仕事を辞め、脳梗塞の後遺症を抱えた母親をつきっきりで介護している。彼女は一人っ子で結婚もしておらず子供もいないため、母親の介護を分担してくれる家族が誰ひとりいない。この生活が始まって以来、ぐっすり眠れた夜はほとんどないという。
張さんの母親は、突然の脳梗塞の後遺症で身体の動きが不自由になり、排泄をコントロールできなくなった。意識ももうろうとして、以前のようにコミュニケーションを取るのは難しい。張さんは午前3時5分に同居する母親の紙おむつを替えるためにベッドから起き上がるなど、夜間も介護に追われている。
金銭的余裕だけでは解決できず
一定の経済力がある中間層以上の一人っ子ならば、民間のヘルパーを雇うことで介護の負担を部分的に軽減できる。しかしその費用は高額であり、長期にわたれば蓄えを使い果たしかねない。
さらに、高齢者の情緒面のケアや、急病時の対応、医療上や介護上の重要な意思決定など、お金では解決できない問題も少なくない。一人っ子たちは、それらの精神的重圧も1人で引き受けざるをえない。
一人っ子世代への支援が必要
中国では、一人っ子政策(計画生育政策)が1979年に本格導入され、2015年まで35年余り継続した。その結果、一人っ子世代が親の介護を一手に担う構造が生まれている。
要介護高齢者の増加と介護サービスの供給不足が続く中、一人っ子世代を対象にした支援の必要性が指摘されている。



