EVシフトの陰で急成長する中国のガソリン車輸出、世界市場を席巻
中国ガソリン車輸出が急成長、世界市場を席巻

世界の自動車産業が電気自動車(EV)シフトに沸くなか、中国から輸出されるガソリン車が急速に存在感を増している。2023年の中国の自動車輸出台数は約491万台に達し、日本を抜いて世界一となった。このうちEVを含む新エネルギー車(NEV)は約120万台だが、残りの約370万台はガソリン車が占める。中国の自動車輸出は、EVだけでなく、従来型の内燃機関車でも急成長しているのだ。

ガソリン車輸出の内訳と成長要因

中国汽車工業協会(CAAM)のデータによると、2023年の中国の自動車輸出は前年比57.9%増の491万台。内訳を見ると、ガソリン車の輸出は約370万台で、前年比52%増と高い伸びを示した。特に、ロシア向けが急増しており、2023年の対ロシア輸出は約90万台で、前年の約16万台から5倍以上に拡大した。ロシアはウクライナ侵攻後の経済制裁で欧米メーカーの撤退が相次ぎ、中国車がその穴を埋める形となった。

また、東南アジアや中東、アフリカなどの新興国市場でも中国製ガソリン車の販売が伸びている。これらの地域では、価格の安さと充実した装備が評価されている。中国メーカーは、低価格帯から高級車まで幅広いラインアップをそろえ、現地のニーズに合わせたモデルを投入している。

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主要メーカーの戦略

最大手の上海汽車集団(SAIC)は、2023年に約120万台を輸出。MGブランドを中心に欧州やオーストラリアでも販売を伸ばす。奇瑞汽車(Chery)は約93万台を輸出し、中東や南米で強い。長城汽車(Great Wall Motor)はピックアップトラックやSUVを中心に、ロシアやオーストラリアで販売を拡大している。

これらのメーカーは、国内市場の競争激化を背景に、海外市場への依存を強めている。中国国内ではEVシフトが急速に進み、ガソリン車の需要が減少傾向にあるため、余剰生産能力を輸出に振り向けているという側面もある。

EVシフトとの関係

一見すると、EVシフトとガソリン車輸出の増加は矛盾するように思える。しかし、中国ではEVの普及がガソリン車の輸出を後押ししている面もある。中国政府はEV産業を国家戦略として育成しており、EVメーカーは巨額の補助金や優遇措置を受けている。その結果、EVの生産能力が過剰になり、一部のメーカーはEVで得た利益をガソリン車の開発や海外展開に振り向けている。

また、ガソリン車の輸出増加は、中国自動車産業の技術力向上を示している。かつては「安かろう悪かろう」と評された中国車も、現在では品質やデザインで国際競争力を持つようになった。特に、内装の質感やコネクテッド機能では、同価格帯の日本車や韓国車を上回るモデルも多い。

世界市場への影響と今後の展望

中国のガソリン車輸出の急増は、世界の自動車市場に大きな影響を与えている。特に、新興国市場では中国車のシェアが急速に拡大しており、日本車や韓国車の牙城を崩しつつある。タイでは2023年の新車販売で中国ブランドのシェアが約10%に達し、前年の約5%から倍増した。インドネシアやマレーシアでも同様の傾向が見られる。

一方で、中国車の攻勢に対して、日本や韓国のメーカーは価格競争や現地生産の強化で対抗している。また、欧米では中国製EVに対する関税引き上げの動きがあるが、ガソリン車についてはまだ大きな規制はない。ただし、環境規制の強化に伴い、長期的にはガソリン車の需要は減少すると予想され、中国メーカーもEVシフトへの対応を迫られる。

中国汽車工業協会の関係者は「中国の自動車輸出は今後も成長を続けるが、中長期的にはEVの比率が高まる」と指摘する。中国メーカーは、ガソリン車で稼いだ資金をEV開発に投入し、世界市場でのプレゼンスをさらに高める戦略だ。

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