中国の「怒り」経済制裁、実は2年で消滅?データが示す意外な限界
中国の怒り経済制裁、実は2年で消滅?データが示す限界

高市首相の台湾有事答弁をきっかけに、日本は再び中国の「怒り」を買っている。しかし、中国の経済的威圧には意外な限界があることが、近年の計量分析で明らかになっている。ジャーナリストの高口康太氏と東京大学社会科学研究所准教授の伊藤亜聖氏が、その実態を解説する。

「中国人民の怒り」はいつから実効性を持ったのか

1949年の中華人民共和国成立以降、中国は外国の行動に対して繰り返し「中国人民の感情を傷つけた」と主張してきた。この定番フレーズの出現回数を調べた研究によれば、21世紀に入るまでは、その怒りは実効性を持っていなかったという。

変化が起きたのは2001年のWTO加盟後だ。経済力の向上に加え、胡錦濤政権が「核心的利益」の擁護を前面に打ち出したことで、怒りを外交ツールとして使う基盤が整った。しかし、その効果には明確な期限がある。

Pickt横長バナー — Telegram用の共同買い物リストアプリ

怒りの効果は2年で消滅する

高口氏によれば、「怒りの効果は翌年で打ち切り。2年後には消えてしまう」という。中国の「制裁」は制度化されておらず、「怒った中国人民が政府とは無関係に抗議している」という建前で実施されるため、時間が経てば自然と元の関係に戻るからだ。

「激しくケンカしていても、しばらくするとけろっとしている中国人そのまんまの姿に見えます。一度衝突したらねちねち恨みを抱き続ける日本人の陰湿さとは真逆です」と高口氏は指摘する。

民間企業の取引は減らない

伊藤氏は、2019年の論文「企業は政治的緊張にどう対応するのか? 貿易における『ダライ・ラマ効果』の異質性」を紹介。2000年から2006年の中国の機械・輸送機器輸入データを分析した結果、ダライ・ラマ効果(中国がダライ・ラマに関連する国からの輸入を減らす現象)には以下の特徴があることが分かった。

  • 輸入企業数は減らず、1社当たりの輸入額が減少する。
  • 輸入額を減らすのは主に国有企業と外資企業。民間企業は変わらない。
  • 外資企業は中国でのビジネス継続のために政府との関係維持を重視し、国有企業と同様に協力する可能性がある。
  • 商社的な仲介輸入業者は輸入を増やして転売し、漁夫の利を得ている可能性がある。

つまり、中国の怒りによる経済的威圧は、国有企業と外資企業を通じて限定的に働くが、民間企業の取引にはほとんど影響を及ぼさない。制裁の実効性は限定的であり、長続きしない。

Pickt記事後バナー — 家族イラスト付きの共同買い物リストアプリ