ブレグジット幻滅が労働党新首相の最強カード、経済復活への道筋
ブレグジット幻滅が労働党新首相の最強カード

イギリスの与党・労働党は近く、不人気なキア・スターマー首相に代わる新たな党首を選ぶ予定となっている。しかし、この首相交代が政治・経済復活への希望を抱かせるものにはなっていない。イギリスのメディアだけでなく、世界の金融市場でも、失敗したスターマー政権に修正を加えても事態は悪くなるだけという見立てが基本路線だ。

それでも、この見立てが間違っていると考えられる理由は十分にある。次の首相候補の全員が、経済成長は財政余力のためだけでなく、労働党が政治的に生き残るための必須条件であることを認識している。そして、これらの候補者の全員が(大っぴらには認めなくても)労働党が経済のテコ入れに失敗した原因を理解している。2024年の総選挙でスターマーの労働党が掲げた公約が足かせとなったのだ。

スターマー政権が掲げたばかげた2つの選挙公約

スターマーは、保守党政権の14年にわたる失政でダメになった経済を一変させると約束したものの、保守党による最も重大なマクロ経済政策を放棄しなかった。具体的にはスターマーの選挙公約には、イギリスの経済を浮揚させるチャンスを自ら台無しにする、2つのばかげた選挙公約が含まれていた。

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一つ目は、法人税を25%に維持するという公約だ。これは保守党政権が導入した高税率をそのまま引き継ぐもので、企業の投資意欲を削ぎ、経済成長を阻害している。二つ目は、ブレグジットに関するEUとの関係改善を積極的に進めないという公約だ。スターマーはEU離脱後の貿易協定の見直しに消極的で、結果的にイギリス企業の輸出競争力を弱めている。

EU離脱派も認めるイギリス経済の惨状

国際通貨基金(IMF)のデータによれば、イギリスのGDP成長率は2024年に0.5%、2025年には0.8%と、G7諸国の中で最低水準にとどまっている。ブレグジット支持派の経済学者でさえ、離脱後の貿易障壁が中小企業に打撃を与え、インフレを促進していると認めざるを得なくなっている。

「ブレグジットは約束された繁栄をもたらさなかった。むしろ、経済的な傷は深まるばかりだ」と、元ブレグジット推進派のコメンテーターは匿名で語る。

ブレグジットを修正すれば、極右までもが労働党支持になる

世論調査では、ブレグジット再加盟を支持する国民の割合が2026年6月時点で58%に達し、2016年の国民投票以来初めて過半数を超えた。この流れを受け、労働党内ではEUとの関係再構築を公約に掲げる候補が支持を集めている。特に、極右政党の支持層の一部が「EU再加盟」を掲げる労働党に流れる可能性が指摘されている。

チェコ・プラハに本拠を置く国際的NPO「プロジェクト・シンジケート」は、多くの有力者の論評・分析を配信している。「グローバルアイ」では、主に同シンジケートのコラムの中から厳選して翻訳・配信している。

イギリスの政治経済の行方は、今後の党首選とブレグジット政策の修正にかかっている。労働党が新たなリーダーシップの下で、経済成長とEUとの関係改善を実現できるかが問われている。

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