「看護師を辞めたい」と感じることは決して珍しくない。調査では、転職を考える理由として「給与・賞与への不満」が50.0%で最も多く、福利厚生や業務負荷、人間関係など複数の要因が重なっていることもわかった。大切なのは、「辞めたい」という気持ちを否定するのではなく、その理由を整理し、自分に合った働き方を考えることだ。
看護師が「転職したい」と感じる理由ランキング
看護師人材紹介サービス「マイナビ看護師」に登録している会員406名に「転職したい理由」を聞いたところ、ランキングは以下のようになった(複数回答可)。
1位:給与(賞与)に不満(50.0%)
2位:福利厚生がよくない・充実していない(20.1%)
2位:家から遠い/通いにくい(20.1%)
2位:業務の負荷が重い(20.1%)
5位:仕事にやりがいを感じられない(17.4%)
6位:残業や夜勤などの時間的な負荷が高い(16.7%)
6位:上司との人間関係に不満(16.7%)
8位:仕事を通じて成長できない(15.3%)
8位:会社に安定性・将来性を感じない(15.3%)
10位:仕事の責任やリスクの負荷が重い(13.9%)
年代別で見る転職理由の違い
転職したい理由を年代別で見ると、20代で「給与(賞与)に不満」が63.9%と高く、若年層ほど給与面を理由に転職を考えやすい傾向がある。30代では「家から遠い/通いにくい」、40代では「上司との人間関係に不満」が高く、ライフステージによって理由が異なる。
職業状況別でみると、非正規で「仕事を通じて成長できない」が26.7%と高く、成長機会やキャリア形成への不満が転職したい理由の上位に挙がる。職場の総合満足度別でみると、不満層で「給与(賞与)に不満」が55.4%と高く、給与不満が実際の転職意識にも結びついていると見られる。
「看護師を辞めたい」と思っているのは自分だけではない
「看護師白書2026」を見ると、多くの看護師が現在の給与や仕事内容に不満を抱いていることがわかる。例えば、「給与が見合わない」と感じている人は66.8%と、全体の3人に2人が思っている計算になる。ほかにも「経済的な余裕がない」(66.7%)、「将来が不安」(64.6%)などの項目で高い回答割合が目立つ。看護師が業務について抱いている違和感は、多くの看護師にも共通していることだと言える。
「看護師を辞めたい」という気持ちを整理するためのポイント
今の職場を辞めるかどうかをすぐに決める必要はない。まずは、次の3つを考えてみよう。
1. 何が一番つらいのかを考える
「何が一番しんどいのか」を言語化する。辞めたい理由は給与なのか、人間関係なのか、それとも仕事内容なのか。原因がわかれば、解決方法も見えやすくなる。複数が重なっているなら優先順位を整理するといい。
2. 今の職場だからつらいのかを考える
今の悩みは病院や施設が変われば改善する問題なのかを考える。看護職そのものは続けたいのか、それとも続けたくないのか。職場の悩みと仕事そのものに対する悩みを切り分けて考えることが大切。
3. 半年後も同じ気持ちなのかを考える
今の悩みは一時的な忙しさから来るものなのか、それとも心に長く残っている違和感なのか。半年前はどうだったのか、半年後はどうなっているだろうかと、時間軸で考えてみると自分の本音が見えやすくなる。
看護師の転職に関するFAQ
Q. 看護師が転職を考える一番の理由は何ですか?
「看護師白書2026」では、「給与・賞与への不満」が50.0%で最も多い転職理由となっている。
Q.「看護師を辞めたい」と思うのは甘えでしょうか?
いいえ。同調査では、給与・将来・仕事量・ゆとりなど、多くの看護師が同様の悩みを抱えていることがわかっている。
Q. 「看護師を辞めたい」と思ったらすぐ転職した方がいいですか?
まずは、辞めたい理由を整理することが大切。給与、人間関係、仕事内容など原因によって選択肢は変わる。
Q. 看護師は将来に不安を感じていますか?
「看護師白書2026」によると今の生活について、67.0%が「経済的なゆとりがない」と答えており、64.6%が「十分な収入を得られるか不安」と回答している。現在だけでなく将来への不安も、「辞めたい」気持ちにつながっている。
Q. 転職すれば必ず解決しますか?
転職で改善するケースもあるが、求人票だけではわからない情報もある。給与だけでなく、働き方や人間関係、職場環境も含めて比較することが重要。
まとめ
「看護師白書2026」では、転職を希望する看護師の50.0%が「給与(賞与)への不満」を理由に挙げており、2位以下を大きく引き離して最も多い回答となった。さらに、「現在の給与は仕事への貢献に見合っていない」と感じている人は66.8%にのぼり、多くの看護師が日々の業務量や責任の重さに対して、十分な評価を受けられていないと感じている。
もちろん、「辞めたい」という気持ちの背景には、給与だけではなく、福利厚生、業務負荷、人間関係、将来への不安、働き方など、さまざまな要因がある。しかし、それらを含めてもなお、給与・賞与への不満が突出して多かったという結果は、「待遇への納得感」が看護師の働き続ける意欲を左右する重要な要素であることを示している。
もし今、「このまま働き続けていいのだろうか」「頑張っているのに報われない」と感じているなら、その感覚を一人で抱え込む必要はない。同じような悩みや迷いを抱えながら働いている看護師は少なくなく、その気持ちは決して特別なものではない。
大切なのは、「辞めたい」という気持ちを無理に否定することではなく、その理由を整理すること。給与への不満なのか、働き方なのか、人間関係なのか、それとも将来への不安なのか。自分の本音を整理することで、今の職場で改善できることと、転職によって解決できることが見えてくる。
「辞めたい」と思ったことは、キャリアを見つめ直す一つのきっかけでもある。「看護師白書2026」のデータが示しているように、多くの看護師が同じ悩みを抱えているからこそ、自分だけの問題だと決めつけず、納得して働き続けられる環境とは何かを考えることが、次の一歩につながるだろう。



