就職活動の面接において、これまで以上に「話し方」が評価の重要な要素となっている。従来は志望動機や自己PRの内容が重視されてきたが、近年は「どのように伝えるか」という点が企業の評価基準に大きく影響するようになった。
企業が求める「伝える力」
リクルートが2026年卒の学生を対象に行った調査では、面接で「話し方」を重視すると回答した企業は前年比で15ポイント増の68%に達した。この背景には、リモートワークの普及やチーム内での円滑なコミュニケーションへのニーズの高まりがあるとみられる。
大手人材サービス会社の担当者は「内容が完璧でも、早口で聞き取りにくかったり、視線が定まらなかったりすると、『チームでうまくやっていけるか』という点でマイナス評価になる」と指摘する。
学生側の対策も変化
こうした動きを受け、学生の間でも話し方のトレーニングが広がっている。大学のキャリアセンターでは、面接対策として「発声練習」や「アイコンタクトのコツ」を教えるセミナーが人気だ。ある国立大学のキャリアセンター責任者は「学生から『何を話すかより、どう話すかが大事と言われた』という声が増えている」と話す。
また、オンライン面接が定着したことで、カメラ越しの話し方や表情の作り方にも注意が必要となっている。就活情報サイトの調査によると、2026年卒の学生のうち、オンライン面接対策として「話し方の練習をした」と答えた割合は54%に上る。
評価の偏りへの懸念
一方で、話し方の評価が過度に重視されることへの懸念も出ている。就職活動に詳しい専門家は「話し方の巧拙が本来の能力評価を歪める可能性がある。企業側は内容と話し方のバランスを取る必要がある」と警鐘を鳴らす。
実際、ある大手企業の人事担当者は「話し方が上手な学生ばかりが評価され、地味だが能力の高い学生を見落とすリスクを感じる」と打ち明ける。このため、同社では面接の評価項目に「論理性」や「具体性」といった内容面の基準を明確に設定し、バランスを取っているという。
就活の現場では「話し方」への注目が今後も高まると予想されるが、企業は表面的なスキルだけでなく、本質的な能力を見極める工夫が求められている。



