中国の自動車業界で、電気自動車(EV)へのシフトが加速している。比亜迪(BYD)や吉利汽車などの大手メーカーが、相次いでガソリン車の生産終了を発表した。これにより、中国国内の自動車市場は大きな変革期を迎えている。
BYDがガソリン車生産を全面停止
BYDは2022年3月、ガソリン車の生産を全面的に停止すると発表した。同社は今後、EVとプラグインハイブリッド車(PHEV)の生産に特化する。BYDの広報担当者は「当社は世界で初めてガソリン車生産を完全に停止した自動車メーカーとなる。これは、環境負荷低減への強いコミットメントの表れだ」と述べている。
吉利汽車もガソリン車生産終了を計画
吉利汽車も、2025年までにガソリン車の生産を終了する計画を明らかにした。同社は現在、EVやPHEVの開発に積極的に投資しており、2025年までに新車販売の70%以上を電動車両にする目標を掲げている。吉利汽車の李書福会長は「ガソリン車の時代は終わりつつある。我々はEVの未来に向けて全力で取り組む」とコメントした。
中国政府のEV推進政策が追い風
こうした動きの背景には、中国政府の強力なEV推進政策がある。中国政府は2035年までに新車販売の50%以上をEVにする目標を掲げており、EV購入補助金や充電インフラ整備などの支援策を実施している。また、2023年からは新たに「NEV(新エネルギー車)クレジット制度」を導入し、自動車メーカーに一定比率以上のEV販売を義務付ける方針だ。
EV市場は急成長、2025年に20%超のシェア予測
中国のEV市場は急成長を遂げている。中国自動車工業協会によると、2021年のEV販売台数は前年比157%増の352万台に達し、新車販売に占める割合は13.4%となった。2022年にはさらに伸び、500万台を超える見通しだ。市場調査会社の予測では、2025年までにEVが新車販売の20%以上を占めるとされている。
ガソリン車生産終了の影響と課題
ガソリン車生産終了の動きは、自動車部品メーカーやガソリンスタンドなど関連産業に大きな影響を与える。特に、エンジンやトランスミッションなどの部品メーカーは、EV向け部品への転換を迫られる。また、ガソリンスタンドは充電スタンドへの転換や事業多角化が必要となる。
一方で、EV普及には充電インフラの整備やバッテリーのコスト低減など、解決すべき課題も多い。中国政府は2030年までに充電スタンドを1,200万基設置する計画だが、現時点ではまだ十分ではない。また、バッテリー価格は依然として高く、EVの購入価格をガソリン車並みに引き下げるには、さらなる技術革新が必要だ。
世界の自動車メーカーもEVシフト加速
中国だけでなく、世界の自動車メーカーもEVシフトを加速している。フォルクスワーゲンは2035年までに欧州でのガソリン車販売を終了する計画を発表。トヨタも2030年までにEVの販売を350万台に引き上げる目標を掲げる。こうした動きは、気候変動対策としての脱炭素化の流れを受けたものだ。
中国自動車大手のガソリン車生産終了は、世界の自動車産業の構造変化を象徴する出来事と言える。今後のEV普及の行方が注目される。



