煙もニオイも出ない「モダンオーラルたばこ」、医療界の懸念にBATジャパンが回答
煙・ニオイなし「モダンオーラルたばこ」医療界の懸念に回答

ブリティッシュ・アメリカン・タバコ・ジャパン(BATジャパン)は8月25日、「モダンオーラルたばこ」に関するメディア向け情報交換会を開催した。近年、日本国内で急速に市場を拡大するこのジャンルについて、健康リスクへの疑問の声が寄せられる中、基本情報から医療界の懸念に対する見解、同社が掲げる「ハームリダクション(健康被害の低減)」の考え方まで幅広く議論が交わされた。

煙やニオイが出ない新製品の特徴

「モダンオーラルたばこ」は、純白の小さなパウチを歯茎と頬の間に挟んで使用する新しいたばこ製品。紙巻きたばこや加熱式たばこと異なり、「燃焼」も「加熱」も行わないため、煙やニオイが発生せず、受動喫煙の心配もない。

BATジャパンの担当者は「従来のたばこの概念を覆す製品であり、煙が出ないため周囲に迷惑をかけることなく使用できるのが大きな特徴」と説明する。日本では2020年の改正健康増進法の施行を機に煙の出ない製品への注目が集まり、近年は競合他社も新製品を投入して市場が活気づいている。

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4つの分類とスウェーデンの実例

同社によれば、オーラル製品には主に4つの分類がある。台湾や東南アジアで親しまれる「伝統的製品(ビンロウなど)」、北欧で数世紀前から普及する「スヌース」、欧米で広がる「ニコチンパウチ」、そして加工たばこ葉を使用した新しいカテゴリ「モダンオーラルたばこ」だ。

一方で「オーラルたばこと言っても様々な種類があり、とくに国内では混同されがち。利用者や周囲の方々にご理解いただくのが難しいことが課題」と明かす。

スウェーデンでは「スヌース」の普及により紙巻きたばこの喫煙率が5%を下回り(スヌース利用率は15.7%)、EUで「スモークフリー」と定義する喫煙率5%未満を達成する見通し。肺がん死亡率もEU内で最低水準(人口10万人あたり20人未満/2022年、年齢標準化死亡率)というデータも紹介された。

医療界の懸念と相対的リスク低減

説明会では「口腔科や歯周病学会の医師などからオーラルたばこのリスクを懸念するネガティブな報道が出ているが、どう捉えているか」という質問が投げられた。

担当者は、報道や学会での指摘が旧来の伝統的オーラル製品を含む過去の研究結果を引用しているケースが見られると指摘。「新しいカテゴリであるモダンオーラルたばこの特性への理解がまだ浸透していないことが、先生方の不安や懸念につながっているのではないでしょうか。我々としても、積極的に発信していく必要があると感じています」と述べた。

スウェーデンの長期疫学研究ではスヌースと歯周病に有意な関連がないとするデータがある一方、米国FDAは一部スヌース製品について「紙巻たばこの喫煙と比較して、口腔がん、心疾患、肺がん、脳卒中、肺気腫、慢性気管支炎のリスクが低下する」と評価。しかし「スヌースとすい臓がんリスクに関する代表的な疫学研究においては、リスクが上昇(2007年)という研究、関連が認められない(2017年)という研究が両方出ています。研究手法や評価の仕方によって変わることもあるので、複数の最新研究を併せて、総合的に評価していただけたらと思います」と話した。

同社は「あくまで『紙巻きたばこを吸い続ける場合』と比較したときに、切り替えることでどれだけ有害性物質が軽減されるのかを精査した上で案内しています」と強調。ゼロリスクを謳うのではなく、紙巻きたばこからの移行による「相対的なリスク低減」を訴えた。

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禁煙一択との距離とハームリダクション

医療現場では依然として「禁煙一択」の指導が根強いが、同社自身も「非喫煙者や未成年は絶対に使用を開始すべきではなく、最善は禁煙である」と明確にしている。厚生労働省のデータでは、禁煙治療を試みた人のうち継続して禁煙できたのは約3割で、約7割が再び喫煙に戻る現実がある。

そこで同社が推進するのが「ハームリダクション」だ。「喫煙を継続することを選択する消費者に対し、単に現状の紙巻きたばこを提供し続けるのではなく、新しいアプローチを検討する必要があります」と語る。

たばこ関連疾患の主な原因はニコチン依存性ではなく、たばこ葉の「燃焼」で発生する有害性物質とされる。WHOが低減を推奨する9つの主要有害性物質について、紙巻きたばこを100とした場合、同社の加熱式たばこは約90-95%削減、モダンオーラルたばこは約99%削減というデータが示された。

医師向け媒体の記者から「医師の間では依然として『禁煙一択』という見方が強いが、どう距離を縮めていくのか」と質問が飛ぶと、「ニコチン自体に発がん性があるわけではなく、燃焼による有害物質が主な要因であるという事実を丁寧に伝えていく必要があります。どうしても禁煙できずに紙巻きたばこに戻ってしまうくらいなら、より有害性物質の曝露が少ない製品へ切り替えてもらう方が、公衆衛生の観点でも建設的だと言えます」と回答。医師への理解促進を図る方針を示した。

スモークレス社会への挑戦

受動喫煙ゼロという特徴を持つモダンオーラルたばこだが、新製品ゆえに医療界を含む社会の理解は過渡期にある。BATジャパンは「最終的にスモークレス製品が主流となることが、当社のビジョン達成につながる」と語る。

紙巻きたばこからの移行を促し、ハームリダクションを社会に定着させられるか。情報への誤解を解き、社会との継続的な対話を進めるモダンオーラルたばこの今後に注目が集まる。