シチズン、LVMH出資で高級ムーブメント戦略加速 スイス子会社ラ・ジュー・ペレが世界市場に挑む
シチズンLVMH出資で高級ムーブメント戦略 スイス子会社が世界市場に

時計メーカーとして知られるシチズン時計は、時計の心臓部であるムーブメントでも世界市場に挑んでいる。主柱は普及価格帯の日本製ムーブメント「MIYOTA」で、長野県佐久市に世界最大級の工場を構える。1981年に発売した「Cal.2035」は世界中の実用時計ブランドに標準品として広く採用されている。しかし、シチズンにとって切り札となるのは、2012年に買収したスイスのムーブメント製造会社「ラ・ジュー・ペレ(La Joux-Perret)」だ。

LVMH出資で脚光

ラ・ジュー・ペレは、スイスの時計作りの聖地ラ・ショー・ド・フォンに拠点を置き、従業員約140人が働く。2025年、LVMHモエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトングループが同社への出資を発表した。LVMHは「タグ・ホイヤー」「ウブロ」などの高級時計ブランドを擁する世界最大級のラグジュアリー・コングロマリットだ。LVMHは自社ブランドの時計に搭載するムーブメントの供給元としてラ・ジュー・ペレを選んだ。

シチズンにとって、これはMIYOTAで培ったムーブメント供給力を競争の激しいスイス市場に広げる足がかりとなる。ラ・ジュー・ペレでは職人が手作業でムーブメントを生産しており、高級機械式時計のノウハウを本場スイスから取り込む狙いがあった。

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買収後の生産拡大

買収後、ラ・ジュー・ペレの生産数量は20〜30倍に拡大した。シチズンは70年代以降、セイコーと並びクオーツ時計の技術で世界有数のメーカーに成長。看板技術「エコ・ドライブ」に注力し、実用性を打ち出してきた。一方、機械式時計は長く主戦場ではなかった。80〜90年代には機械式市場が小さく、スイスの老舗も苦戦。シチズン社内でも「やめるべきか」議論されたほどだった。

風向きが変わったのは2010年代。機械式時計が職人技の詰まった嗜好品やステータスの象徴として再評価されるようになった。シチズンは2012年にスイスのプロサー社を買収。同社はラ・ジュー・ペレのほか、超高級ブランド「アーノルド&サン」などを傘下に持っていた。

情緒的価値の創出

シチズンはラ・ジュー・ペレを通じて、高級機械式時計の情緒的価値を生み出すことに成功している。ムーブメントの精巧な仕上げや手作業による組み立ては、コレクターや愛好家から高い評価を得ている。LVMHの出資は、この価値をさらに高めるものだ。

シチズンは今後、MIYOTAの量産技術とラ・ジュー・ペレの高級技術を融合させ、幅広い価格帯のムーブメントを提供する方針。世界の時計市場で存在感を強めている。

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