東洋経済の独占インタビューに応じた経済産業省の半導体戦略担当官は、日本の半導体産業の復活に向けた具体的な施策と将来像を明らかにした。同担当官によると、2024年度の国内半導体関連投資額は過去最高の3兆円に達する見通しで、これは前年度比50%増となる。
官民連携の新たな枠組み
政府は2021年に設立した「半導体戦略推進会議」を基盤に、官民連携の強化を図っている。具体的には、国内主要半導体メーカーや研究機関と連携し、次世代半導体の開発拠点を複数設置する計画だ。特に、2ナノメートル世代の半導体製造技術の確立を目指し、2025年までにパイロットラインを稼働させる目標を掲げている。
また、台湾のTSMCが熊本県に進出したことに触れ、「海外企業との協力も重要だが、国内企業の競争力向上が不可欠」と強調した。実際、ルネサス エレクトロニクスやキオクシアなど国内メーカーも、政府の補助金を活用した大規模投資を計画している。
人材育成と研究開発
半導体業界の深刻な人材不足に対応するため、経済産業省は2023年度から「半導体人材育成プログラム」を開始した。このプログラムでは、大学や高等専門学校と連携し、年間1000人の専門人材を育成する目標を掲げている。また、海外からの高度人材受け入れも促進するため、ビザ取得の簡素化などの施策を進めている。
研究開発面では、東京大学と産業技術総合研究所が中心となり、次世代半導体材料の研究拠点を設立。特に、炭化ケイ素や窒化ガリウムなどのワイドバンドギャップ半導体に焦点を当て、パワー半導体分野での国際競争力強化を狙う。
国際協力と安全保障
半導体の安定供給は経済安全保障上の重要課題と位置づけられ、日本は米国、韓国、台湾、欧州連合との協力を強化している。2023年に設立された「日米半導体協力枠組み」では、先端半導体の研究開発やサプライチェーンの強靭化で連携する。また、日本政府は半導体関連の輸出管理を強化し、特定国への技術流出防止策を講じている。
同担当官は「半導体はデジタル社会の基盤であり、日本の産業競争力に直結する。官民一体となった戦略的な投資と人材育成で、世界の半導体市場における日本の存在感を再び高めたい」と述べた。



