東京理科大学を中心とする産学官の14団体は、次世代蓄電池として注目されるナトリウムイオン電池(NIB)の量産技術開発と社会実装に乗り出す。2026年7月9日に発表されたこのプロジェクトには、GSユアサなどが参画し、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の支援を受ける。予算規模は約7.6億円で、電気事業者向けの定置用蓄電池の量産技術を確立することを目標としている。
レアメタルフリーの次世代電池
NIBは、リチウムイオン電池に代わる次世代蓄電池として期待されている。最大の特徴は、レアメタル(希少金属)を一切使用しない点だ。ナトリウムは海水に豊富に存在するため、資源の枯渇リスクがなく、価格変動も小さい。また、急速充電性能に優れ、低温や高温環境でも高い性能を維持できるという利点がある。
国内の研究開発の現状
東京理科大学の駒場慎一教授らのグループは、これまでNIBの基礎研究で成果を挙げてきた。同大は「研究室レベルでの技術は確立されている」としており、今回の事業で実用化に向けた実証段階に進む見通しだ。国内ではNIBの量産実績はまだないが、製造プロセスが既存の三元系リチウムイオン電池と類似しており、ライン共有が可能とされる。
世界の蓄電池競争と日本の立ち位置
世界の新車販売の4台に1台が電気自動車(EV)となり、蓄電池需要は急増している。日本では全固体リチウムイオン電池の実用化が近いとされる一方、中国勢はリン酸鉄リチウムイオン電池で低コストEVを量産し、シェアを拡大している。NIBのEV搭載は中国で活発化しているが、日本ではまだ実績がない。
今後の展望
NIBの量産技術が確立されれば、定置用蓄電池からEVへ応用が広がる可能性がある。資源制約の少なさと高性能を武器に、次世代電池の有力な選択肢となることが期待される。



