主力以外は売れていても手放す決断で売上倍増…奈良の玩具メーカー「長期目標を立てない」戦術
主力以外は売れていても手放す決断で売上倍増…奈良の玩具メーカー戦術

奈良県吉野郡に本社を構える玩具メーカー・ヨシリツ株式会社が、主力商品であるブロック玩具「LaQ」に経営資源を集中するため、たとえ売れている商品であっても主力以外は手放す決断を下し、売上高を倍増させることに成功した。同社は同時に「長期目標を立てない」という独自の戦術を採用し、柔軟な経営を実現している。

LaQハカセの役割と転職背景

LaQの魅力を伝えるスペシャリスト「LaQハカセ」は、全員がヨシリツの社員であり、ほとんどが異業種からの転職組だ。その一人、米屋さんは元医療関係の営業職で、娘が通っていた大阪の保育園でLaQと出会った。「大騒ぎしていた子ども達が、LaQを前にするとピタッと集中するんです。しかも、たった7つのパーツを組み合わせるだけで何でも作れる。不思議なブロックだと思い、企業情報を調べたら本社が奈良県の吉野郡。そんな小さな町で!?とビックリして、さらにファンになって転職しました」と語る。

入社後の研修期間中、米屋さんは社内の体験スペースで1日中LaQに触れ、技術を磨いた。LaQハカセの仕事は、作品制作の技術だけでなく、LaQの楽しさを伝えるコミュニケーション能力も求められる。最近では、子どもの頃にLaQで遊んでいた世代が親になり、自分の子どもを連れてイベントに訪れるケースが増加。大学生が「子どもの頃にLaQにハマったおかげで、数学が得意になりました」と声をかけてくることもあるという。

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LaQ芸術祭:年1500作品が集まるコンテスト

ヨシリツは年に3回、ファンが自作のLaQ作品を応募し競う「LaQ芸術祭」を開催しており、1回あたり約500作品、年間で約1500作品もの応募がある。子ども部門と大人部門に分かれており、LaQハカセや社長、社員が全作品を吟味し、投票でグランプリを決定する。米屋さんは「我々もビックリするような力作が届くんです」とコメントしている。

大人部門では主婦層からの応募も多く、特に2015年に発売されたクリア素材の「クリスタルパーツ」は即完売の大ヒット。2023年にはダイヤモンドカットをイメージした「ジュエルパーツ」が発売され、指輪やティアラなどの宝石のような作品が作れることから、女の子のファンが急速に増加した。

限られたパーツだからこそ生まれるひらめき

LaQはたった7種類の基本パーツで構成されており、この制約が逆に創造性を刺激する。ヨシリツの経営陣は「長期目標を立てない」方針を掲げ、市場の反応に応じて柔軟に戦略を変更。主力以外の製品は売れていても手放すことで、リソースをLaQに集中させ、結果として売上倍増を達成した。

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