モスフード、ハンバーガー以外で新たな柱「玄米食堂あえん」の狙いと現状
モスフードの玄米食堂あえん、新たな柱へ

モスフードサービスが展開する「玄米食堂あえん」が、静かに店舗網を広げている。同社の主力であるハンバーガーチェーン「モスバーガー」が好調な中、なぜ今、玄米定食なのか。その背景には、食に対する生活者の志向の変化と、同社の新たなブランド育成戦略がある。

好調な本業と並行する新規事業

モスフードサービスは2026年3月期、国内モスバーガー事業で売上高839億9300万円、セグメント利益78億7600万円を計上した。本業は堅調だ。その一方で、新規飲食事業は売上高20億1500万円、セグメント損失2億1000万円と赤字である。しかし、同社は2026年3月期から報告セグメントを変更し、従来の「その他飲食事業」を「新規飲食事業」へ名称変更。「各ブランドの育成を促進すること」が理由だ。これまで国内モスバーガー事業に含まれていた「MOS50」「Stand by Mos」「mosh」も新規飲食事業へ移管され、ハンバーガー以外のブランド育成を明確にした。

玄米食堂あえんは、この新規飲食事業に含まれる一業態である。同セグメントには他にも「マザーリーフ」「モスド」「モスプレミアム」「あえん」など複数ブランドがあり、玄米食堂あえん単体の損益は非開示だが、決算説明資料では「低投資・省人化モデルとして多店舗展開に向けた基盤育成を進めている」と説明されている。

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なぜ今、玄米定食なのか

外食に求められる役割が変化している。日本政策金融公庫の「消費者動向調査(令和7年11月調査)」によると、食に関する志向では経済性志向が41.6%、健康志向が41.1%、簡便化志向が38.0%と、3つの志向が上位を占める。特に経済性志向は令和5年7月調査以降、40%超が続く。この調査は家庭の食事も含む全体的な志向だが、外食においても「価格に納得でき、健康に配慮でき、手間がかからない」という条件を満たせば選ばれる理由になる。玄米食堂あえんの定食は、そうした需要に応えようとしている。

競合として浮かぶのは「大戸屋」だ。大戸屋はセントラルキッチンに頼らず店内調理を徹底し、栄養バランスの良い「一汁三菜」の和食メニューを強みとする。玄米食堂あえんは、大戸屋を意識した業態開発と見るのが自然である。

低投資・省人化モデルの模索

玄米食堂あえんは、まだ立地や運営モデルを探っている段階だ。低投資で出店でき、省人化による効率的な運営を目指す。多店舗展開の基盤を育成中であり、現時点では新規飲食事業全体が赤字であることから、収益化には時間がかかる可能性がある。しかし、本業が稼げているからこそ、新たな柱を育てる余裕がある。

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