奈良県吉野郡の山あいの町に本社を置くヨシリツ株式会社が開発したパズルブロック「LaQ(ラキュー)」は、発売から約5年間、おもちゃ屋ではまったく売れず、累積赤字約8000万円を抱えていた。しかし、試しに置いてもらった書店でわずか1週間で完売。現在では世界28カ国で販売され、海外の玩具アワードを多数受賞するヒット商品となった。
売れない時代が続いたLaQ
LaQの開発期間は約5年。創業者の吉條宏さんは「これは売れる」と自信を持って東京や大阪の玩具問屋に営業をかけたが、まったく相手にされなかった。おもちゃ屋では見向きもされず、売上は伸び悩み、累積赤字は8000万円に達した。
転機は書店からの注文だった。ある書店に試しに置いてもらったところ、1週間で完売。吉條さんは電話で「LaQをうちの店にも置かせてほしい」という問い合わせを受け、耳を疑ったという。
なぜ書店で売れたのか
おもちゃ屋で売れなかった理由は、LaQが「知育玩具」としての認知度が低く、一般の玩具店では陳列スペースを得られなかったことにある。一方、書店では教育関連コーナーに置かれ、保護者の目に留まりやすかった。実際、購入者からは「数学が得意になった」という声が寄せられ、口コミで広がった。
LaQは7種類のパーツで平面から立体、球体まで自由に組み立てられる。その汎用性の高さが教育現場でも評価され、学校教材としても採用されるようになった。
世界展開と受賞歴
現在、LaQは世界28カ国で販売されている。2010年にはアメリカの権威ある評価機関「Dr.Toy's」で100点中のトップ10に選ばれた。さらに2026年6月、経済産業省の「新たな世界を切り開く玩具産業企業20選」に選定された。
ヨシリツ株式会社は奈良県吉野郡に本社を構え、社員数は151名。大手玩具メーカーではないが、その独自性が世界的な評価を得ている。
累積赤字を乗り越えて
吉條さんは「売れると思った」と振り返る。開発から販売まで約10年、累積赤字8000万円という道のりを経て、ようやくブレイクした。その背景には、おもちゃ屋ではなく書店という販路の違いがあった。また、SNSや口コミでの評判が広がり、海外のバイヤーからも注目されるようになった。
LaQの成功は、販売チャネルの選定と製品の教育的価値が鍵だったと言える。現在では、世界中の子どもたちに愛される玩具として成長を続けている。



