JAL鳥取社長独占インタビュー:飲酒不祥事の反省と10年先の成長戦略
JAL鳥取社長が語る不祥事反省と長期戦略

日本航空(JAL)の鳥取三津子社長が、東洋経済の独占インタビューに応じ、パイロットや客室乗務員による飲酒不祥事の反省と、2035年度を最終年度とする長期経営ビジョンの全容を明らかにした。

不祥事の反省とトップの責任

鳥取社長は、相次ぐ飲酒問題について「顧客からの厳しいコメントも、目を背けずにしっかり読んでいる」と述べ、批判を真摯に受け止めていることを強調した。不祥事の報告はトップに共有されており、再発防止策として社内の意識改革や研修強化を進めているという。

「業績拡大が続く中で、こうした不祥事が発生していることは大変遺憾だ。社員一人ひとりがプロとしての自覚を持ち、お客様の信頼を取り戻すために全力を尽くす」と語った。

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なぜ10年先のビジョンなのか

JALが2026年6月に発表した2035年度までの長期経営ビジョンは、一般的な3~5年の中期計画ではなく、10年単位で策定された。鳥取社長はその理由について、「地政学リスクの高まりやエネルギー問題、少子高齢化など、今後10年以上にわたって続く課題に対応するため」と説明する。

「かつては数年に1度だった地政学リスクが、今は常態化している。3年先すら見通せない時代に、3年単位の計画を立てるよりも、10年後にありたい姿を描き、そこから逆算して1年ごとに柔軟に対応する方が現実的だ」と語った。

役員合宿を2~3回重ねて議論した結果、単年度ごとに見直す機動的な経営スタイルを採用したという。

燃油費高騰の中での業績見通し

燃油費の高騰が続く中、JALは月間約280億円の追加燃油費を負担している。しかし、政府からの補助金が月50億円弱あり、旺盛な需要により毎月100億円ほどの増収を達成している。鳥取社長は「第1四半期(2026年4~6月期)も黒字を確保できる見込み」と述べ、業績予想の下方修正は考えていないと明言した。

「サーチャージの引き上げ効果もあり、需要が極端に冷え込まなければ利益を出し続けられる。目標は高い方が社員も頑張れるということを、この2年で証明してきた」と自信を見せた。

フルサービスとLCCの両輪戦略

JALはフルサービスキャリア(FSC)だけでなく、格安航空会社(LCC)の強化にも注力する。鳥取社長は「LCCは成長市場であり、グループ全体で異なる顧客ニーズに応える」と述べ、ZIPAIRなどの低価格ブランドとのシナジーを追求する方針だ。

また、マイル事業については「唯一無二のサービスとして誇れるものにしたい」と語り、提携パートナーとの連携を深めることで差別化を図る考えを示した。

今後の課題と展望

鳥取社長は、少子高齢化による国内需要の減少や、カーボンニュートラルへの対応など、中長期的な課題にも言及。「環境問題は深刻化する一方であり、持続可能な航空燃料(SAF)の導入など、脱炭素への取り組みを加速する」と述べた。

「10年後に『JALで良かった』と言ってもらえる企業を目指す。そのためには、不祥事を繰り返さず、安全運航と顧客満足を徹底することが大前提だ」と締めくくった。

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