日本の美容関連産業を「Jビューティー」として成長産業に位置づけ、化粧品の輸出拡大を目指す動きが加速している。現在約5000億円の輸出額を、2033年までに2兆円へ引き上げる目標が掲げられ、政府は2024年に発表した「新たなクールジャパン戦略」で化粧品を重点産業に指定。2026年5月には自民党議員による「J-Beauty産業研究会」が政府に提言を提出した。
Kビューティー急成長の要因とは
日本の手本とされるのが韓国の「Kビューティー」だ。韓国の化粧品輸出額はこの10年余りで急拡大し、世界有数の輸出国に成長。京都橘大学の朴熙成教授(国際経営)は、その強さの理由を「政府支援そのものではなく、ODM(設計・製造受託)、SNS、EC(ネット通販)、流通がつながった産業構造の強みにある」と分析する。
朴教授によれば、韓国政府は2000年代以降、化粧品産業の海外展開を後押ししてきたが、躍進の最大の理由は、企業群が誇る圧倒的なエコシステムにあるという。このエコシステムにより、市場変化への対応スピードが群を抜いて速く、新製品の開発から販売までを短期間で実現できる。
中国依存から脱却した教訓
Kビューティーはかつて中国市場への依存度が高かったが、そのリスクを認識し、輸出先の多様化を進めてきた。この教訓は、Jビューティーが脱中国依存を掲げる背景にも通じる。日本の化粧品メーカーは、高品質な製品を持ちながらも、海外市場でのプレゼンスは限定的だった。
政府の目標達成には、Kビューティーのような産業エコシステムの構築が不可欠とされる。ODM企業の活用やSNSマーケティングの強化、ECプラットフォームとの連携など、韓国モデルから学ぶべき点は多い。
Jビューティーの課題と展望
Jビューティーが直面する課題は、ブランド力の向上と流通チャネルの開拓だ。日本の化粧品は品質で評価される一方、海外での認知度はKビューティーに劣る。政府は「新たなクールジャパン戦略」を通じて、日本発の美容文化を世界に発信する方針だ。
自民党のJ-Beauty産業研究会は、税制優遇や規制緩和、海外見本市への出展支援などを提言。これらの施策が実現すれば、輸出拡大の追い風となる。しかし、真の成長には、個々の企業が連携し、エコシステムを形成することが重要だと朴教授は指摘する。



