10年前、フォルクスワーゲン(VW)は「300万円前後で買えるドイツ品質」の代表格だった。主力の「ゴルフ」や「ポロ」は、国産車から少し背伸びをすれば手が届く輸入車として多くの若者に選ばれてきた。だが、その立場は今や過去のものになりつつある。
平均車両価格は10年で約56%上昇
「値引き前車両本体+オプション価格」で見ると、VWの平均車両価格は2014年の326万円から2025年には508万円へと上昇した。上昇率は56%に達し、同期間の新車市場全体の上昇率(35%)を大きく上回る。
VWの価格と新車市場全体の価格を比べると、2014年時点で市場平均の1.2倍だったのが、現在は1.38倍まで拡大。価格差も54万円から141万円へと広がっている。市場全体も価格は上がっているが、VWの上昇率がそれを上回ったことで、差は開く一方だ。
SUVシフトが価格上昇に拍車
価格上昇の背景には、各車種の値上がりに加え、売れ筋がSUVへとシフトしたことがある。かつてはゴルフやポロといったハッチバックが主力だったが、今はより車両価格の高いSUVが販売の中心を占めるようになった。これによって、VW全体の平均価格はさらに押し上げられている。
現在販売されている8代目ゴルフも価格は上昇傾向にあるが、それ以上にラインナップの変化が平均価格に影響を与えている。
購入者の高齢化と高所得化が同時進行
価格が上がれば、買い手の顔ぶれも変わる。VW購入者の年齢構成を見ると、60代以上が2014年の34%から2025年には49%とほぼ半数に達した。一方、20~30代は23%から14%へと減少している。
この変化は、日本全体の高齢化だけでは説明しきれない。VWが若い世代にとって手の届きやすい輸入車ではなくなりつつあることがうかがえる。
実際、世帯年収でも高所得層への偏りが進む。購入者に占める年収1000万円以上の割合は、2014年の30%から2017年35%、2020年35%と緩やかに推移した後、2025年には42%にまで拡大した。
つまり、VWの購入者は確実に「高齢化」し「高所得化」している。長年VWに乗り続けてきた既存ユーザーや、所得・資産に余裕のある中高年層へと購入者が偏る一方で、若年・中間所得層は静かに離れていった結果といえる。



