北陸新幹線の敦賀―新大阪間の延伸ルートをめぐる国会での議論が、佳境を迎えている。完全な新線である「小浜ルート」と、東海道新幹線に接続する「米原ルート」の2案が有力視される中、延伸推進派の議員らは7月中に小浜ルートでの決定を目指しているが、鉄道ジャーナリストの北村幸太郎氏は「十分な検討がされていないのではないか」と疑問を呈する。
小浜ルートは米原ルートより3兆円以上も高額
国土交通省の試算によると、小浜ルートの建設費は3兆9000億~5兆8000億円、工期は25~26年とされる。一方、米原ルート(東海道直通)は建設費が2兆1000億~2兆7000億円、工期は18年(別途環境影響評価に+7年)で、小浜ルートは最大で3兆円以上も高額だ。にもかかわらず、政府が小浜ルートをゴリ押しする理由について、北村氏は「マスコミ報道ではわからない事実がある」と指摘する。
費用対効果の試算で実は米原ルートが優勢なケースも
国交省は、敦賀―新大阪間のみを評価する「個別評価」と、東京―新大阪間全線で評価する「一体評価」で費用対効果(B/C)を算出した。多くのメディアは、社会的割引率4%(国の従来基準)の一体評価のみを取り上げ、「小浜ルート優勢」と報じた。しかし、昨今の低金利実態に合わせた社会的割引率2%試算では、一体評価のB/Cは小浜も米原も同じ「1.3」、個別評価では小浜「0.9」に対し米原(直通案)「1.1」と、米原ルートが優勢となるケースがある。
国交省への取材で判明した試算の詳細
北村氏が国交省鉄道局に取材したところ、一体評価では北陸―中京圏の流動の便益増減も考慮に入れて算出したという。また、米原ルートでの東海道新幹線直通本数の想定については、「現在の東海道新幹線のダイヤを見て、このくらいなら乗り入れできるのではないか、という本数で想定した」と具体的な回答は差し控えた。北村氏は「米原ルートは割高というのはウソだ」と断言し、「既定路線ありきではなく、十分な検討をすべきだ」と訴えている。



