政府は7月、半導体や宇宙など成長分野の産業集積を図る「戦略産業クラスター計画」を策定した。全国13の計画のうち、北海道は都道府県別で最も多い3つが選ばれた。計画実行に向け、新たな推進組織を設立する経済産業省北海道経済産業局の浦田秀行局長(57)に、期待や展望を聞いた。
「令和の開拓」、産業・インフラ・教育を一体で
浦田局長は、計画の趣旨について「成長分野でこれからの日本をリードする産業集積を進めること」と「地域振興で、そうした集積を地方で進め、優秀な若者を引き留められる魅力的な職場を作ること」の2点を挙げた。
北海道は「半導体・AI」「宇宙」「洋上風力」の3分野で産業集積を図る。浦田局長は「各分野で北海道にポテンシャルがあるのは間違いなく、あとは実現させていくことだ」と述べ、宇宙分野では民間に開かれた商業宇宙港があるのはアジアでも大樹町だけだと指摘。千歳市には先端半導体工場があり、風力発電の潜在力の半分が北海道に集中していると説明した。
その上で「戦略を推し進めることで北海道は『経済』『エネルギー』『食料』の三つの安全保障で日本を支える地域に成長する」と強調し、「遅れを取り戻すのではなく、日本をリードすることを目指すべきだ」と語った。
食・観光との4分野一体で全道に恩恵を
北海道の基幹産業である「食・観光」については、「4分野一体で北海道の活力を高め、恩恵を全道に行き渡らせることが大切だ」と述べた。政府の地域未来戦略に基づき、市町村も「地場産業成長プラン」を作成でき、手を挙げれば北海道経産局が伴走支援するという。
浦田局長は「明治期の開拓以来160年ぶりのチャンス」とし、「まさに『令和の開拓』。それを具体化していくのが戦略産業クラスターであり、地場産業成長プランだ」と語った。明治の開拓と同様に産業、インフラ、教育を一体で進める方針だ。
中東情勢と北海道の課題
中東情勢について、浦田局長はアラブ首長国連邦(UAE)のアブダビで、日本企業による石油権益の取得を支援した経験を振り返り、「イランの方々の組織力、交渉力、入念な準備に感心した」と述べた。現在のホルムズ海峡情勢については「米・イラン両国の停戦合意に基づく海峡の安全な航行を期待している」と語り、「物は入手できるが価格が高止まりしているのが一番の問題だ」と指摘した。
北海道の既存産業の課題については、「GXによって製品の需要が減り縮小を余儀なくされている産業がある」とし、「新たに成長分野のサプライチェーンに入ることは簡単ではないが、チャレンジをする企業を全力で支援する」と述べた。電力供給については「再生可能エネルギーと原子力の両方を最大限活用することが国のエネルギー基本計画でも明確になっており、安全性を最優先に再稼働を進めることが大事だ」と語った。
対談を終えて、浦田局長は「産業政策は人材政策」として人材育成に注力する考えを示した。北海道経済の地力を高める取り組みに力を入れ、開拓者精神をいかに高めていくか、その手腕が期待される。



