電気自動車(EV)の普及が世界的に加速する中、ガソリン車向け部品を主力とする日本の自動車部品大手企業の売上高が、2030年までに現在の半分に減少する可能性があるとの試算を、東洋経済が独自にまとめた。この試算は、国際エネルギー機関(IEA)の予測や各社の公表データに基づいており、エンジンやトランスミッションなど内燃機関関連部品の需要が急減すると見込んでいる。
試算の詳細と影響
分析対象となったのは、デンソー、アイシン、日立Astemo、ジヤトコ、日本精工など、エンジンや駆動系部品に強みを持つ主要部品メーカー10社。東洋経済は、IEAの公表するEV販売予測(2030年に世界新車販売の約40%がEV)を基に、各社のガソリン車関連売上高の減少率を推計した。その結果、多くの企業で2025年から減少が始まり、2030年には売上高が2023年比で平均50%減になると試算された。
「これは業界全体にとって構造的な転換点だ。特にエンジン関連部品の比率が高い企業ほど、影響は深刻になる」と、自動車業界アナリストは指摘する。実際、デンソーの場合、2023年度の売上高約7兆円のうち、エンジン関連部品が約3割を占めており、EVシフトが進めば、この部分の売上減少は避けられない。
業界再編と新たな成長戦略
こうした状況を受け、部品メーカー各社はEV向け部品や新技術へのシフトを急いでいる。アイシンは、EV向けのeアクスル(駆動ユニット)の生産能力を2025年までに倍増させる計画を発表。日立Astemoも、EV向けのモーターやインバーターの開発に注力している。しかし、EV関連部品はガソリン車に比べて部品点数が少なく、単価も低い傾向にあるため、売上高を維持するのは容易ではない。
「EV化に対応するには、単なる部品供給からシステム提案型へのビジネスモデル転換が必要だ」と、別の業界関係者は語る。実際、デンソーは車載ソフトウェアや熱管理システムの強化を打ち出しており、従来のハードウェア中心の戦略からの転換を図っている。
地域別の影響と政府の対応
地域別に見ると、日本市場のEV普及率は欧州や中国に比べて低く、2023年の新車販売に占めるEVの割合は約2%にとどまる。このため、国内需要の変化は緩やかだが、海外市場での競争激化が日本メーカーの収益を圧迫する可能性がある。経済産業省は、EV関連のサプライチェーン強化に向けて、部品メーカーの支援策を検討している。
今回の試算は、日本の自動車産業が直面する課題の大きさを浮き彫りにしている。ガソリン車の市場縮小は避けられず、部品メーカー各社は生き残りをかけた変革を迫られている。



