国産生サーモンが急増、養殖新時代に突入 ニッスイは年産1万トン目標
国産生サーモン急増、養殖新時代 ニッスイ年産1万トン目標

刺し身やすしでマグロを上回る人気を誇る「生サーモン」が、国産品の急増により新たな時代を迎えている。これまで大半を輸入に頼っていたが、近年、国産の割合が急速に拡大。その背景には、養殖技術の進歩や、不漁が続く天然サケに代わる収入源を求める漁業関係者の動きがある。

岩手・大槌町で本格化するサーモン養殖

2026年6月1日朝、岩手県大槌町の吉里吉里漁港沖。体長40~50センチ、重さ2.5キロほどに育った養殖サーモン(ギンザケ)が、直径25メートルのいけす12基から次々と水揚げされた。手がけるのは水産大手ニッスイの子会社「ニッスイサーモン」だ。サーモンは岸壁まで運ばれ、油圧ショベルの先にぶら下げられた大きな網ですくわれる。電気ショックで気絶させた後、今年から導入した自動の生け締め機を通し、トラックで各地の加工場へと向かっていった。

大槌町では県内で最も早い2020年からサーモンの試験養殖を開始。22年から事業化され、ほぼ順調に生産を増やし、昨年は1300トンに達した。三陸沿岸は世界有数の漁場でもあり、宮城県ではギンザケの養殖が盛んだったが、東日本大震災による津波で一時壊滅。近年は回復し、秋サケの不漁も背景に新たな収入源を求める漁協や大手水産企業が加わり、岩手や青森でも広がっている。

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ニッスイの生産目標と業界の動き

ニッスイは2030年までに養殖サーモンの国内年間生産量を現在の4200トンから1万トンに引き上げる目標を掲げ、その7割を大槌町を含む岩手の3漁港で水揚げする計画だ。同社は「国産サーモンの需要は堅調で、今後も拡大が見込める」とコメントしている。

一方、異業種からの参入も相次いでいる。東邦ガスは都市ガス製造の過程で生まれる冷たい海水を利用したサーモン養殖に挑戦。また、5キロ超の大型サーモンを「神サーモン」と銘打ち、ふるさと納税の返礼品として限定提供する自治体も現れるなど、競争は激化している。

課題と今後の展望

国産サーモンの拡大には、飼料コストや疾病対策、環境負荷の低減など、いくつかの課題も残る。しかし、輸入に頼らない安定供給が可能になることで、食料自給率の向上にも寄与すると期待されている。業界関係者は「国産サーモンの品質は年々向上しており、海外産に引けを取らない。今後も技術革新を進め、持続可能な養殖を目指す」と話す。

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