アジア開発銀行(ADB)の神田真人総裁は4日、読売新聞のオンラインインタビューに応じ、電力需要が急増するアジアの国々に対し、原子力発電を含む電力分野への融資を強化する方針を示した。神田氏は1日に総裁への再任が決まり、決定後に報道機関の取材に応じたのは今回が初めて。
原発支援への転換と背景
ADBは神田氏が総裁に就任した後の2025年、従来の方針を転換し、原発導入を目指す国への支援を行うことを決定。神田氏は「中東情勢の悪化で、各国政府のエネルギーに対する危機感が急速に高まっている」と指摘し、経済発展やデータセンター建設で電力需要が急増するアジアの国々で原発の必要性が高まっているとの認識を示した。
中国向け融資の行方
世界銀行が今年7月に中国向け融資を2031年までに終了する方針を決めたことや、ADBに対しても米国から中国向け融資終了を求める意見が出ていることについては、「世銀とは加盟国も政策も違う。同じになるか分からない」と述べた。一方で「中国向けの融資額は5年で3分の1減っている。大きな流れは変わらない」とも語った。
今後の課題と見通し
神田氏は財務省の財務官を経て、2025年2月にADB総裁に就任。今年11月24日から2期目が始まる。
インタビューでは、アジアの最大の悩みとして中東危機とインフレを挙げ、「暮らしが良くなり、次の世代が希望が持てることが大事で、エネルギーや食料の安全保障が重要となり、そのためにも地域連携の強化に取り組んでいく」と述べた。また、ASEANの送電網構想ではADBが100億ドルの融資を約束しており、全体で1000億ドル以上の投資が見込まれるとして「早急に進めていきたい」と強調。2030年までに民間セクターへの支援を4倍に増やしたいとの目標も示した。
中国向け融資については「2021~25年の融資額は61億ドルで、5年で3分の1減った。お金ではなく、知見の協力を重視する方向にシフトしている」と説明し、結論は「早ければ早いほうがいい」と述べた。一部の国で過剰債務が指摘されていることについては、「電力、輸送コストや肥料も高くなっており、インフレがさらに激しくなるのが基調的な判断だ。大きな危機となっていないが、リスクは高まっている」と語った。



