双葉社は16日、公式サイトを更新し、2025年11月に発売された『ルポ 路上メシ』(國友公司著)について、書籍の回収ならびに電子書籍・オーディオブックの配信停止を発表した。同社は「多くの問題を含んでいた」として謝罪した。
謝罪と回収の経緯
双葉社の報告によれば、同書は「不安定な生活を送る方々に欠かせない炊き出しという現場を、著者が実際に取材し、書かれた書籍」だが、野宿者・生活困窮者を匿名または一部特徴を踏まえた仮名で記したものの、事前に取材者の立場を明かさず、取材の同意なく話を聞き、個人が特定されうる記述や発言を掲載したことが問題視された。これにより、取材対象者の心を傷つけたり立場を危うくする記述、身体への危険をはらむ居場所・寝場所の記述や画像など、人権に関する問題が多数含まれていた。
差別的表現と無自覚な偏見
さらに、表現においても「差別的もしくは差別を助長する危険性が非常に高い表現が複数箇所確認された」という。双葉社は「社会的に弱い立場の方々について言及する際は、取材対象者の気持ち、社会的な影響について、より慎重な検討・配慮が必要でした。そうした配慮がなされないまま、本書が出版されてしまったのは、弊社および著者の視点の中に無自覚な偏見や無自覚な特権性があったことが問題の本質だと考えております」と述べた。
同社は「本書の刊行を決定し、社会に広めてしまったことは、ひとえに出版元である弊社の責任です」と謝罪。本書によって心を傷つけた当事者、関係者に深くお詫びするとともに、今後の再発防止に努める方針を示した。



