三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)は、KDDIと共同出資するネット銀行「auじぶん銀行」を完全子会社化する方向で最終調整に入った。関係者によると、MUFGはKDDIが保有する全株式を取得し、同社を完全子会社とする方針だ。買収額は2000億円を超えるとみられる。MUFGはスマートフォンアプリを活用した個人向けサービスで後発ながら急成長するauじぶん銀行を傘下に収め、デジタル戦略の強化を図る。
auじぶん銀行、口座数700万超に成長
auじぶん銀行は、KDDIの携帯電話サービス「au」のユーザーを中心に、スマホアプリで簡単に口座開設や送金ができる利便性で支持を集めてきた。2023年3月末時点の口座数は約730万と、前年比で約100万増加。預金残高も約4兆円に達している。後発組でありながら、低コスト運営とデジタルマーケティングで急成長を遂げた。
一方、MUFG傘下の三菱UFJ銀行も「三菱UFJダイレクト」などのデジタルサービスを提供しているが、auじぶん銀行ほどの成長率は達成できていない。MUFGは、auじぶん銀行の顧客基盤とデジタル技術を取り込むことで、個人向け事業の競争力を高める狙いがある。
MUFGのデジタル戦略、後発組の取り込みで加速
MUFGは、2025年度を最終年度とする中期経営計画で、デジタル投資に5000億円を投じる方針を示している。今回の買収はその一環で、既存の銀行システムを刷新するよりも、成長著しいネット銀行を取り込む方が効率的と判断したとみられる。
業界関係者は「MUFGは従来の店舗網に依存したビジネスモデルからの転換を迫られている。auじぶん銀行の買収は、デジタルシフトを加速させる起爆剤となるだろう」と指摘する。
KDDI、金融事業から撤退か
KDDIは、auじぶん銀行をMUFGに売却することで、金融事業から事実上撤退する見通しだ。KDDIは2020年に、金融事業を強化するため、じぶん銀行(当時)に出資し、名称を「auじぶん銀行」に変更。携帯電話の契約者向けに優遇金利などのサービスを提供してきた。しかし、金融事業の収益性や規制対応の負担などを考慮し、売却を決断したとみられる。
KDDIの広報担当者は「現時点で決定した事実はない」とコメントしている。
今後の展開と業界への影響
買収が完了すれば、MUFGはネット銀行部門を強化し、楽天銀行や住信SBIネット銀行など競合他社に対抗する体制を整える。ネット銀行業界では、顧客獲得競争が激化しており、MUFGの動きが他のメガバンクにも波及する可能性がある。
専門家は「MUFGがauじぶん銀行を完全子会社化することで、グループ内のデジタル人材や技術の共有が進み、新たな金融サービスの創出につながる」と期待を示す。



