「オールド・ボーイズ・ネットワーク」が職場に及ぼす悪影響、6割超が認識
「オールド・ボーイズ・ネットワーク」6割超が認識

筆者が20代半ばで新卒入社したマスコミ業界での経験を振り返る。送別会のような飲み会に、男性記者だけが十数人集められた。聞けば編集局長を囲む会だという。遅れて到着した編集局長は、場に花を添えるためか1人の女性記者を連れてきていた。当時の話は詳しく思い出せないが、低俗なものだったと記憶している。居心地が悪く、早く帰りたかったことを覚えている。

別の違和感は休日の麻雀大会だ。「下っ端に拒否の選択肢はない」などと先輩記者に参加を強制されたが、あまりに理解できなかったので適当な理由をつけて断った。

そんな10年近く前のことを思い出したのは、「オールド・ボーイズ・ネットワーク(OBN)」という言葉を知ったからだ。主に既知の男性を中心に形成された閉鎖的な人間関係や慣習、組織文化などを指し、組織運営にさまざまな悪影響を及ぼすという。

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OBNの具体的な例

内閣府男女共同参画局は啓発動画で次のように紹介している。

  • 一部のメンバーしか知らない、経験によって得た知識が存在する
  • 男性役職者の後任は、前任者と似た経歴や気心が知れた男性から選ばれることが多い
  • 女性への過剰な配慮から、家庭や子を持つ女性社員には責任ある仕事や出張などをさせてはいけないと思い込んでいる
  • 飲み会や休日のゴルフなど、業務時間外の場だけがコミュニケーションの場だと考えている

OBNが及ぼす悪影響

「おっさんずクラブ」――不謹慎な表現が浮かんだが、個人や組織に実際に及ぶ悪影響はそんな生易しいものではないだろう。OBNが指しているのは、旧態依然とした職場環境に潜む「内緒の論理」とも言えそうだ。

パーソル総合研究所が実施した調査では、OBNに基づく慣習・組織文化が職場先にあると感じている人が6割を超えた。OBNは組織や個人にどんな影響をもたらすのだろうか。解消のために効果的な施策とは。

「OBNの影響を受けるのは、女性だけにとどまらず、若年層やシニア層の男性にも『意欲低下』や『キャリア機会の制約』という形で影響が及ぶ」と、同研究所の佐藤和子・研究員は話す。

OBNはもともと、英国のパブリックスクールの卒業生たちによる学閥的なネットワークを意味していたが、そこから転じて研究分野では女性活躍の文脈で使われるようになった。近年では女性への影響に限定せず、企業ガバナンスの問題としても注目されている。

日本でも2022年に新語・流行語大賞のノミネート語となり、2024年の「女性版骨太の方針」では啓発の必要性が明記された。2025年には企業不祥事に関する第三者委員会報告書がOBNに言及し、閉鎖的な組織運営を問題視するなど、近年注目を集めている。

今回の調査は2025年12月末から2026年1月初旬にかけて、20~64歳の正社員2500人を対象に実施。「採用」「評価・昇進」「意思決定」「情報共有」などの組織運営の場面ごとに存在するOBNの影響を、回答をもとに指標化した。

OBNが職場先に「かなりある」「少しある」「あるかもしれない」と回答した人の合計は6割を超えた。

性別を問わず及ぶOBNの悪影響

OBNがはらむ閉鎖性は組織に「新規人材の参入困難」や「離職率の高さ」といった悪影響をもたらす。個人にも「成長停滞感」や「発言躊躇(ちゅうちょ)」が起きやすくなるという。

OBNの影響を感じている人は、40代女性で最も大きく見られた。一方、20代男性でも「意欲低下」でプラス41%、60代男性でも「キャリア機会の制約」でプラス42%といった悪影響が見られた。OBNの悪影響は性別に関係なく及ぶと佐藤氏は指摘する。

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女性社員を増やせばOBNは解消されるのか

OBNに基づく閉鎖性は、どのような場面で現れるのだろうか。最も顕著に現れたのは「評価・昇進」の場面だった。「上司や経営層の好みや考え方が昇進の判断に影響することがある」と感じている人は44%に上った。

「アサイン・成長機会」の場面でも影響が大きく、「古参メンバーの働き方や価値観、経歴に近い社員がリーダー候補に選ばれやすい」と感じている人が39%に上った。

特徴的なのは、女性社員の比率が高くてもOBNの影響がなくなるわけではない点だ。女性正社員比率が高い組織ほど閉鎖性はやや低くなる傾向はあったものの、女性比率が5割以上の組織でも、約4割でOBNによる閉鎖性が認められた。

「女性を増やすだけでは組織の閉鎖性は自動的にはなくならない」(佐藤氏)。属性の多様化は重要な一方で、機会配分や意思決定の仕組みそのものが変わらなければ、偏りは残る可能性があるという。

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