2026年6月にプレジデントオンラインで反響の大きかった人気記事ベスト3のうち、老後・健康部門第1位は「健康のために『1日1万歩』も歩く必要はない…厚労省が設定している『70歳以上のシニアの目標歩数』」でした。作業療法士の荻野秀一郎氏が、著書『1日15分健康ウォーキング』(高橋書店)から、適切な歩数とウォーキングの効果を解説しています。
日本は「座りすぎ大国」、死亡リスク1.5倍
日本は1日8時間以上座っている人が多数を占める「座りすぎ大国」です。研究によると、1日8時間以上座っている人は4時間未満の人と比べて死亡リスクが1.5倍になることが明らかになっています。座っている間は全身の筋肉の60~70%を占める下半身の筋肉を使わないため、活動代謝が低下。ふくらはぎのポンプ機能が弱まり、血流や血中脂質代謝が悪化します。その結果、中性脂肪の増加、善玉コレステロールの減少、インスリン感受性の低下を引き起こし、動脈硬化や認知症のリスクを高めます。また、脳の血流低下は認知機能低下やうつ病などのメンタルヘルスにも悪影響を及ぼします。
シニアに最適なウォーキング、その効果
シニアでも手軽に始められる運動として、荻野氏はウォーキングを推奨しています。身体的負担が少ない有酸素運動で、運動習慣がない人にも適しています。軽く息が弾む程度のウォーキングは心肺機能を高め、体力向上や健康維持に役立ちます。また、日光を浴びることでビタミンDが生成され、骨の形成をサポート。骨密度の低下を防ぎ、骨粗しょう症のリスクを軽減します。骨を強くするにはカルシウム摂取だけでなく、適度な衝撃も必要で、足裏からの振動が効果的です。
下半身の筋肉と生活習慣病改善
ウォーキングでは下半身の筋肉がフルに活動します。特に太ももやお尻の大きな筋肉を使うことで、基礎代謝が向上し、血糖値や血圧の改善、脂質代謝の促進が期待できます。これにより、生活習慣病の予防・改善につながります。さらに、適度な運動は睡眠の質を高める効果もあり、深い睡眠を得やすくなります。
ランニングとの負担の違い
ランニングはウォーキングに比べて膝や腰への負担が3~5倍大きいとされています。そのため、シニアや運動初心者にはウォーキングの方が安全で継続しやすいと荻野氏は指摘します。無理なく続けることが健康維持の鍵です。
1日1万歩は不要、厚労省の目標歩数
一般的に「1日1万歩」が健康の目安とされていますが、荻野氏は「70歳以上のシニアには1万歩は必要ない」と述べています。実際、厚生労働省が設定する70歳以上のシニアの目標歩数は、男性で約5,000~6,000歩、女性で約4,000~5,000歩とされています。これは、加齢による体力低下や関節への負担を考慮した数値です。無理に1万歩を目指すよりも、自分のペースで継続することが重要です。
荻野氏は「軽く息が弾む程度のウォーキングを1日15分程度行うこと」を推奨しています。これにより、心肺機能の向上、筋力維持、生活習慣病予防、睡眠の質向上など多くのメリットが得られます。座りすぎの現代人こそ、ウォーキングを日常生活に取り入れるべきだと結んでいます。



