新学期が始まって数カ月が経ち、子どもたちの疲れが蓄積しやすい時期だ。とりわけ梅雨から夏にかけては、体調管理や家庭での過ごし方がその後の成長や学力に大きく影響する。教育の専門家たちは、子どもの問題行動の背景に睡眠不足が潜んでいるとして、20時就寝の徹底を訴えている。
20時就寝が最優先:食事や入浴より睡眠を
文教大学教育学部教授の成田奈緒子氏と公認心理師の上岡勇二氏は、共著『その「習慣」が子どもの才能をダメにする』の中で、5歳までの子どもには食事やお風呂よりも睡眠を優先すべきだと主張する。彼らは、不登校や暴言、暴力といった問題行動の背景に睡眠不足があると指摘。睡眠不足は脳の発達に悪影響を及ぼし、情緒の安定や学習意欲を損なうという。
「20時就寝は何があっても死守すべき」と成田氏は強調する。特に幼少期の睡眠習慣は生涯の健康や能力の基盤となるため、親は生活リズムの見直しを最優先課題とすべきだという。
デジタル機器の余暇利用は1日2時間以内
ジャーナリストの池田和加氏は、子どものデジタル機器の使いすぎに警鐘を鳴らす。北欧諸国ではデジタル教育を推進した結果、子どもの学力低下が顕著になっている。日本でも昨秋、全国で初めて「仕事・学習を除くスマホなどの余暇利用は1日2時間以内」とする条例が可決された。罰則はないものの、大人を含む全市民を対象としたこの動きは大きな話題を呼んだ。
「デジタル教育に積極的な国々で子どもの学力低下が起きている。今こそスマホなどの利用法について国レベルで議論すべきだ」と池田氏は述べている。
夜更かし防止の鍵は「起きる時間」
お茶の水女子大学特任教授の宮里暁美氏は、子どもの夜更かしを防ぐ具体策を提案する。「親は早く寝かせることに意識が向きがちだが、実は何時に起きたかのほうが重要」と宮里氏。正しい睡眠習慣を身につけるには、起床時間を一定にし、朝の光を浴びることが効果的だという。
宮里氏は「21時のルーティン」として、寝る前の習慣を固定化することを推奨。例えば、21時になったらおもちゃを片付け、絵本を読むなどの一連の流れを毎日繰り返すことで、子どもが自然と眠りにつくようになるという。
まとめ:睡眠習慣が子どもの未来を左右する
3本の記事に共通するのは、睡眠の質と量が子どもの心身の健康や学力に直結するという点だ。不登校や問題行動の予防には、まず睡眠環境の整備が不可欠。20時就寝、デジタル機器の適切な利用、起床時間の固定など、今日から実践できる対策を親が率先して取り組むことが求められる。



