マツダは、ライトウエイトオープンスポーツカー「ロードスター」の商品改良を実施し、新たなボディカラー「ジンクグリーンメタリック」や特別仕様車「PS」を追加する。改良モデルは2026年9月上旬に発売予定で、同年10月から生産が開始される。本稿では、歴代ロードスターを振り返りながら、今回の改良モデルの特徴を詳しく解説する。
歴代ロードスターの系譜
ロードスターが自動車業界に与えた衝撃は計り知れない。1989年、日本車の当たり年と言われる年に、初代「ユーノス・ロードスター」(NA型)がデビュー。同年5月に北米で「MX-5ミアータ」として登場し、日本では9月に発売された。当時、欧州を中心に存在したライトウエイト2シーターオープンモデルはほとんどが消滅しており、ロードスターはその隙間を狙って投入され、世界中で多くのファンを獲得。欧州各社も触発され、同様のモデルを投入した。この現象は「ミアータショック」と呼ばれ、業界に衝撃を与えた。
初代から現行型までの変遷
初代NA型は1.6リットル直列4気筒エンジンでスタートし、途中で1.8リットルに変更。手動ソフトトップとリトラクタブルヘッドライトが特徴で、1998年までの約10年間製造された。2代目NB型はヘッドライト固定式となり、車名が「マツダ・ロードスター」に統一。1.8リットルエンジンでスタートし、後に1.6リットルや1.8リットルターボも追加。リアウインドウをガラス製に変更し、クーペも登場。1998年1月から2005年8月まで製造された。
3代目NC型は2005年8月に登場。全幅が1,700mmを超え3ナンバー化。2リットル直4エンジンを搭載し、電動ハードトップ「リトラクタブルハードトップ」(RHT)も設定。2015年5月までの約9年10カ月販売された。現行の4代目ND型は2015年5月に登場。当初はソフトトップのみだったが、翌年には電動ハードトップ「リトラクタブルファストバック」(RF)を追加。ソフトトップは1.5リットル、RFは2リットルエンジンを搭載。登場から11年を経過し、歴代最長のモデルとなっている。
最新改良モデルの変更点
今回の商品改良では、新色「ジンクグリーンメタリック」が追加された。この色は、航空機や船などの防錆塗料「ジンククロメートプライマー」から着想を得たグリーンで、ND型初のグリーン系ボディ色となる。全グレードで選択可能で、2026年10月より生産開始予定。また、車外騒音規制に対応するため、静音タイヤの採用とサイレンサーの大型化が行われた。マツダはタイヤメーカーに「音以外の部分は変更しないでほしい」と依頼し、タイヤの柔らかさを補正するためパワステのセッティングも変更。ハンドリングは従来通りにチューニングされている。
サイレンサーの大型化には苦労したとされ、2リッターエンジン用は改良前の26リットルから規制適合には50リットルが必要だったが、開発の結果36リットルに縮小。RFではトランクルームの形状変更を余儀なくされた。静音化による魅力低下を防ぐため、吸排気系に専用レゾネータやリブを新設計し、音質チューニングを実施。従来RS系のみだった「インダクションサウンドエンハンサー」をソフトトップ全車で標準化。シートの安全基準強化に伴い、ヘッドレストの高さや形状も最適化された。
特別仕様車「PS」の詳細
特別仕様車「PS」(ピュアスポーツ)は、ソフトトップのSスペシャルパッケージをベースに、スポーティかつモダンなカラーコーディネートと走り装備を充実。エクステリアはインシュレーター付きグレーソフトトップ、レイズ製ブラック塗装16インチアルミホイールを採用。機能面ではシルバー塗装のブレンボ製ベンチレーテッドディスク&4ピストンキャリパー、ビルシュタイン製ダンパーを装着(ソフトトップRSにも採用)。インテリアはエアコンルーバーにブラックとシルバーの加飾、エアコンダイヤルとエンジンスターターリングをブラックに。
ビルシュタイン製ダンパーは、バネレートを上げ減衰力を落とすセッティングで、ロール剛性を確保しつつ乗り心地も向上。マツダ車両開発本部ロードスター主査の齋籐茂樹氏は、「990Sはヒラリヒラリと走るが、PSはアメンボのようにスイスイ走る感覚に仕上がっている」とコメントしている。
今後も進化するロードスター
毎年魅力的なモデルを投入するロードスターは、常にファンを楽しませてくれる。今回の改良モデルも、新色や特別仕様車、規制対応と走りの両立など、その魅力をさらに高めている。今後の展開にも期待がかかる。



